三浦朱門・曽野綾子夫妻の長男に嫁いだ著者が描く、強烈な個性をもつ家族の物語とは?
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ゆうゆう編集部
新しい世界を見せてくれる夫との暮らしに退屈はなし
義理の祖父の逸雄氏には面食らうことばかりだったが、ともに過ごす時間が楽しく、書き残しておきたいことがいちばん多かったという。
暁子さんが結婚した頃は、義父母と同じ敷地内の日本家屋に住んでいた。祖父は本に埋もれた「魔窟」のような部屋で、ゆっくりと話し、とっておきのコーヒーをふるまってくれた。そのひとときは、「機関銃のようなスピードで会話が飛び交う」三浦家の、若い嫁にとって癒やしの時間でもあった。
義父の朱門氏も、寛大な心で導いてくれる存在だったと振り返る。
「一人息子の嫁ですから、あちらは女の子というものがよくわからない。だから私が、『女の子とはこんなもんです』と言うと、『おっ、そうか』と言ってもらえたんです(笑)。私が正直に『わからない』と言うと『どこからわからないの?』と聞いてくれ、『最初から』と言うとちゃんと最初から教えてくれる。心強かったです」
義母である曽野綾子氏は?
「喧嘩をしたことがないんです。『暁子さんのことは嫁と思わないで、一人の女性として考えたいと思う』と言われてしまうと、喧嘩にもならないんですね(笑)」
世間から注目される義母は、背負う苦労も計り知れない。そんな彼女を案じたときに、義父に言われた言葉が心に残っている。
「『知壽子(曽野氏の本名)は、山登りなんかしたくないのに、仕方なく頑張って登っているんだ。しかもハイヒールを履いて、痛みなどないかのような顔をして。そこを理解してあげなさい』と」
現在、暁子さんは太郎氏と二人暮らし。夫は職場の大学を辞するや「これこそが俺の理想の生活」と、家に居続ける暮らしを堪能。
「私が知らなかった世界をたくさん見せてくれた人です。変化し続ける人なので退屈しません。今、彼が積み上げた本に埋もれている様子は祖父の『魔窟』を彷彿とさせます。隔世遺伝でしょうか(笑)」
PROFILE
三浦暁子
みうら・あきこ●1956年、静岡県生まれ。上智大学文学部卒業。
在学中に、三浦朱門と曽野綾子の長男・太郎と結婚。その後、エッセイを書き始める。
近年はノンフィクションも執筆。神戸新聞「文芸エッセー」「のじぎく文芸賞」選者。
『テーマは愛』『ソメスサドルの挑戦 炭鉱の町から世界へ』など著書多数。
※この記事は「ゆうゆう」2023年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
取材・文/志賀佳織 撮影/佐山裕子(主婦の友社)
ゆうゆう2023年12月号
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