義父母の「終の住み処」問題に関わりたくない私は、冷たい嫁でしょうか? 坂東眞理子さんのすっきり人生相談
仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。
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プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。
相談 ①
どうする? 義理の父母の終の住み処
義父に認知症の初期症状が出始め、義弟が「自分たちの近くの高齢者マンションに引っ越しをさせたいから、両親を説得してほしい。費用の相談にものってほしい」と夫に言ってきました。私は介護職なので、夫から相談されたのですが、正直なところ夫と義弟で決めてほしいです。冷たい嫁でしょうか?(52歳・正社員)
まったく「冷たい嫁」ではありません。義父母の住まいは夫の親族間で決めてもらいましょう
口出ししないことこそ良識ある態度です
この問題は夫と義弟、義父母で、しっかり話し合ってもらうしかありません。相談者は介護職とのことなので頼りにされているのかもしれませんが、もし相談を受けたとしても介護の専門的な知識を伝えるだけにとどめて、最終的な決定は当事者である義父母と息子2人に任せるべきです。
とはいえ、義弟(おとうと)さんが「自分たちの近くの高齢者マンションに」と言ってくださっているのは本当にありがたいことです。日本ではいまだに「長男のところで」と考えられがちで、親の老後をきょうだいで押しつけ合って揉めることも多々ありますから。
一方で費用の相談も受けているとのことですが、「両親の年金だけでは賄えないから、兄弟で少し負担しよう」ということでしょうか。多額のお金を援助するとなれば相談者と義弟の家庭も大変になりますが、兄弟である程度入居金など援助するのは当然です。
もし夫が親や弟に対して長男風を吹かせて格好つけたがるようならば、「あなたの責任で、あなたの老後資金から出してね。私の貯金には手をつけないで」と、クギを刺しておいたほうがいいかもしれません。
ただ、「両親を説得してほしい」ということは、義父母は高齢者マンションに入ることを迷っているのではないでしょうか。「最期まで今の家で暮らしたい」と思っているのかもしれません。まずは夫と義弟に義父母の本音をしっかり聞き出してもらうことです。そしてご両親が納得できるよう説得する、これが大切です。
相談者の職業柄、この先も頼られる場面があるかもしれません。でも、冷たい嫁と言われようが何と言われようが、たじろがず、線引きしておくべきです。夫の実家の具体的な決定には口出ししないーーそれは冷たい嫁ではなく、良識ある大人の態度です。