【79歳・阿部絢子さん】「年をとってから自由になった。自分の好きなように生きられるから、今が一番楽しい」【後編】
家事研究のために海外でホームステイ。旅行ではない現地の生活を知る楽しみがある
コロナ前には年に1回、1週間から10日間、海外でのホームステイを続けてきた。各国の家事を目で見て体験することが目的だ。ドイツやデンマーク、スペイン、イタリアと、旅するだけでは感じ取れない現地の人々の暮らしぶりをホームステイという形でしっかりと経験して記録してくる。
国や人によって家事のスタイルが違う。たとえば掃除や冷蔵庫への保存法は、ドイツとイタリアではいろいろと違うから面白い。
日本国際生活体験協会(EIL)というホームステイを受け入れる組織があり、EILがホームステイ先を決めて、滞在するシステムが出来上がっている。
最後に滞在したのがイタリアの東海岸にある港町マルティンシクーロ。ここでは人生を楽しむ人たちとの出会いがあった。コロナ禍で休んでいたホームステイを、そろそろ再開したいと話す。
年とともに旅道具も変わってきた
阿部さんは旅の達人でもあるが、旅の荷物選びの達人でもある。なかなか荷物が減らせないという人は多いが、阿部さんの場合、厳選したものだけを持っていく。荷物が重いと旅が楽しくないので、足りなければ「現地調達」主義であり、お金さえ持っていれば何とかなると語る。
リュックの使い勝手も研究してきたことの一つだ。海外のホームステイにも国内旅行にも必ずリュックを持っていく。1泊用・2~3泊用の大きさ違いのリュックを使い分けている。こだわりは内側のポケットの位置。リュックだとどうしても底のほうが重くなってしまいがちで、これを背負っているのは疲れるので、内ポケットがリュックの上部にあって、底部だけが重くならないものを探して使っている。
最近はスーツケースにも重さを感じるようになってきているので、もっとコンパクトに、さらに荷物を減らそうと考えているそうだ。旅は特別なことではなく、日常の延長という考えなので、旅だからという気負いのある準備はしないのが阿部さん流だ。