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【94歳、ひとり暮らし】「いつお迎えが来てもいいわ」ボケないための秘訣は?小説家・千田佳代さん

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ゆうゆう編集部

90代で愛猫を相棒にひとり暮らしを楽しむ小説家の千田佳代さん。気ままがいちばん、無駄に悩まないコツとは?

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PROFILE
千田佳代 94歳 小説家

せんだ・かよ●1930年東京生まれ、函館育ち。明治大学文学部演劇学専攻卒業。
森澄雄主宰俳句結社「杉」同人。文芸同人誌『公園』『朝』などに作品を発表。
2010年『猫ヲ祭ル』(作品社)で第6回小島信夫文学賞受賞。

心配事があるとボケやすい。だから心配は一切やめました

70代、ひとり暮らしの中で老いを迎える女性と猫との日々を描いた小説『猫ヲ祭ル』で、79歳のときに小島信夫文学賞を受賞した千田佳代さん。小説は「ほぼ自分自身の姿を描いた」ものとのことで、94歳の現在もひとり暮らしを続ける。

「小説に描いた猫、ナイルが亡くなり、おいが保護した迷子の猫を飼うことにして、もう8年目になります。ナイルは天国に、その子は今、ここにいるから『ココ』と名づけました。姪はこのボロ猫がココ・シャネル?と驚いていましたけど(笑)」

小説では老いの心細さが猫に癒やされていく姿が印象的だったが、それから20年、今はどんな心持ちでいるのだろうか。

「あの頃は確かに心細かったのかもしれないですね。今はいつお迎えが来てもいいわという気分です。特に不安もなく、逆にこのままだと200歳まで生きるんじゃないかと、そっちのほうが気がかりです」

漫画を片手に愛猫ココとの時間。「保護猫ですが、言葉がわかるのね」

ケセラセラで生きるようにしています

ひとり身の不安が最も募ったのは、定年まで勤めた楽譜出版社を辞めたときだった。そのときの行動には驚かされる。

「あらゆる自死の研究をしたんです。いろんな本を読んで。そうしたら絶食がいちばんいいとわかったの。何も食べないでいると最初の3日間は苦しいけれど、そのあとは大丈夫なんですって。食欲が自然と落ちて数カ月で死に至る。人が見ても老衰だと思ってくれそう。死ぬのはいつでもできると思ったら、妙に安心して心が軽くなりました」

それ以来、悩んでも仕方のないことは悩まず、「ケセラセラ」が信条となった。

「ボケるのも不安で、どういうふうにボケるのかをいろいろ調べました。わかったのは、お金の心配、健康の心配、子どもの心配、社会問題の心配、あとひとつ何だったか……とにかく心配事があるとボケやすいということ。だからそれらをあまり考えないことにしたの」

心配事はとことん調べてケリをつけ、忘れるのが千田さん流。100歳まであと6年。「最後に書きたい小説もある」と情熱はそちらに向ける。

「楽しいことに時間を使いたいんです。私の場合は仕事の他に、本と漫画。本は作者の生きざまに共感できた箇所を繰り返し読んでいます。漫画はハッピーエンドが好き。徹底的な悪役の登場とあからさまな勧善懲悪もいいですね。胸がすっとしますよ」

『アラベスク』『エロイカより愛をこめて』『きのう何食べた?』など、暗くなく、ハッピーな漫画が好き。

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