【石黒賢さん】キャリア40年を超え、あえてシェイクスピア作品に挑む理由とは?
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恩田貴子
極限の緊張感の先に待つ“生”の実感
石黒さんが演じるのは、主人公ハムレットの敵、クローディアスという大役だ。
「舞台に出る前はいつも、『お客さんに観てもらいたい!』という強気と、『どうしようもない緊張感』という弱気が入り乱れて、どうしようもなくなります。でも、その心の揺れを経験したとき、強烈に感じるんです。大げさかもしれませんが、『俺は今を生きているんだ!』って」
やり直しのきかない舞台。毎日違う空気の中で、極度の緊張が生む共演者との化学反応。その“生々しさ”こそが、石黒さんにとっての快感だと顔をほころばせる。
「舞台は唯一無二。今この瞬間という刹那的なものを、みんなでシェアしましょう、という空間なんです。本当に高度に緊張しているからこそ生まれるものがある。それが舞台の醍醐味だと思います」
残りの人生で自分に何ができるのか。全力で挑んだ先に目指す場所
刹那の中で「今、ここ」を強烈に実感する。その感覚は、今回挑む『ハムレット』に流れるテーマとも重なるという。
「2026年、この混沌とした世界で『ハムレット』を上演する意味。個人的には、『メメント・モリ(死を思え)』という言葉が根底にあると思うんです。それはつまり、『生を感じろ』ということ。今も戦争が続く国があり、いつ死ぬかもわからない人たちがいる。そんな不穏な時代に、僕らは生きることに鈍感でいていいのか。僕自身、そのテーマを大事にして舞台に立ちたいと思っています」
『ハムレット』が突きつける「死を思え、生を感じろ」というメッセージ。それは、俳優として、そして一人の人間として節目を迎えた彼自身の心境とも重なる。
「残りの人生で自分に何ができるのかを最近よく考えるんです。今回大きなチャンスをいただいて、何年か経って振り返ったときに、『あのときハムレットをやれてよかった』『全力でやれた』と思えたら。今はそんなふうに強く思っています」
プロフィール
石黒賢さん 俳優
いしぐろ・けん●1966年、東京都生まれ。
83年、ドラマ「青が散る」で俳優デビュー。以降、数多くのドラマ、映画で活躍。
近年の出演作に、ドラマ「半沢直樹 第2部」「アイシー〜瞬間記憶捜査・柊班〜」、映画『マスカレード・ナイト』『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』他多数。
2008年からWOWOW「ウィンブルドンテニス」でスペシャルナビゲーターを務め、現地取材や中継で大会の魅力を伝える。
また、海外の子ども向け絵本の翻訳も手がける。
【Information】『ハムレット』
デンマークの王子・ハムレットは、父王の急死と、その直後に母ガートルードが叔父クローディアスと再婚し、彼が王位についたという現実を前に、深い喪失と混乱の中にいた。そんなある夜、父の亡霊が現れ、自分はクローディアスに毒殺されたのだと告げる。衝撃の真実を突きつけられたハムレットは復讐を誓い、狂気を装いながら宮廷の人々の反応を探り始める。疑いと孤独が彼をむしばみ、恋人オフィーリアや友人たちとの関係も次第にねじれていく。やがてハムレットは、芝居を使って叔父の罪を暴こうと試みるが、その一手が思いもよらぬ悲劇の連鎖を呼び起こし……。
作/ウィリアム・シェイクスピア
演出/デヴィッド・ルヴォー
翻訳/松岡和子
出演/市川染五郎、當真あみ、石川凌雅、横山賀三、梶原 善、柚香 光、石黒 賢 他
【東京公演】 2026年5月9日~30日 日生劇場
S席1万4000 円、A席9000 円(いずれも税込)
【大阪公演】 2026年6月5日~14日 SkyシアターMBS
S席1万4000円、A席9000円(いずれも税込)
【愛知公演】2026年6月20日~21日 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
1万4000円(税込)
舞台『ハムレット』公式サイト https://hamlet2026.jp/
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