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「相続財産がわからない!」万一の場合、最初にやるべきことは?井戸美枝先生がアドバイス

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更新日

横田頼子

親の財産について、親とくわしい話をしたことがない、という方も少なくないことでしょう。そのようなケースで、親が亡くなった場合、相続に関して何から始めるといいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに教えていただきます。

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【60歳Fさんの悩み】
離れて暮らす80代の両親がいます。遺産の話ができないまま父親は入院中、母親も体が弱って特養に入所しています。万一の場合、相続の何から手をつけたらいいのでしょうか。

【井戸さんのアドバイス】
・最初にやるべきは、相続人と相続財産を確かめることです。
・預貯金などより借金が多い場合は、3カ月以内に相続放棄の手続きの検討を。
・相続人同士で遺産のわけ方を決めたら、遺産分割協議書にまとめてトラブル回避を。
・相続税が発生する場合は、10カ月以内に申告・納付します。
・故人が契約していたサブスクや会費などは、早めに解約しましょう。

亡くなった人の戸籍謄本を集めて相続人を確定する

家族が亡くなって相続の手続きを行うとき、最初にやるべきなのは相続人の確定です。

相続する権利が及ぶ「法定相続人」は民法で定められていて、亡くなった人の配偶者(内縁の配偶者含む)と血族の子(婚外子等含む)、父母、兄弟姉妹。

配偶者は必ず相続人になりますが、血族は第1順位が子、第2順位が父母、第3順位が兄弟姉妹となり、子どもがいる場合は、低い順位の兄弟姉妹は相続人になりません。

相続人を確定するには、亡くなった人が生まれてから亡くなるまで、連続したすべての戸籍謄本が必要です。家族が知らなかった子どもや、養子縁組した子どもの可能性などの有無を確認するためです。親の本籍地がわからない場合は、住民票を調べたり、親族に聞いて確認しましょう。

戸籍謄本は本籍地のある役所で保管されていて、家族や代理人が申請できます。以前は本籍地が遠いときなど現地の役所に郵送を依頼する必要がありましたが、2024年3月から住んでいる市区町村役場で取得できるようになりました。自治体によっては、予約が必要な場合もあるので、事前に役所に問い合わせるといいでしょう。

親が転籍などをしている場合は、最初にとった戸籍謄本のひとつ前の本籍地からも戸籍謄本を取りよせる必要があります。相続人の確定は意外に手間がかかるので、迅速にとりかかりましょう。

亡くなった人の全財産を目録にする

相続人の確定と同時に、早急に進めたいのが財産の確認です。
親が財産目録を作っていれば簡単ですが、作っていない場合は自分たちで調べる必要があります。
財産となるのは、以下のようなものです。

プラスの財産
・現金や預貯金、株式などの金融資産 ・保険契約
・家や土地などの不動産 ・ゴルフ会員権 ・家財 ・高価な貴金属や骨董品など

マイナスの財産
・ローンや借金、保証債務、家賃や税金などの未払分など

遺産に含まれないもの
・お墓、香典、葬儀費用など

財産がどうなっているかまったくわからない場合は、通帳や有価証券、金融機関からの通知などを探しましょう。80代のご両親ならネット取引などは行っていない可能性が高いので、家のどこかに必ずヒントになる書類があるはずです。

その際、きょうだいがいるなら、全員で探すこと。一人で探すと、思ったより財産が少ないとわかったときなどに、他のきょうだいから「他にもあるのに隠しているのでは」などと疑われて、トラブルに発展しかねないので注意が必要です。

ネット取引を行っていそうな場合は、メールの受信ホルダー内の取引先からの通知がないかチェックを。スマホに、金融機関のアプリをインストールしている場合もあります。利用していると思われる金融機関が見つかったら、カスタマーセンターに問い合わせるといいでしょう。

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