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【光る君へ】夫がありながら、藤原道長(柄本佑)と一夜をともにした紫式部(吉高由里子)。その年の暮れに出産したのは、何と道長の子!

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志賀佳織

第28回のタイトルはその名もまさに「一帝二后」だ。うららかに日の注ぐ屋敷で、乳飲み子の世話を焼くまひろの幸せそうな場面から始まるが、その手つきはなんとも不器用。弟・藤原惟規(のぶのり/高杉真宙)の言うように「学問は得意だけれども、乳飲み子の世話は下手だなぁ」である。

内裏では道長が「一帝二后」について姉・詮子の意見を聞くと、好意的な反応が。道長の願いにより、詮子はその旨、一条天皇に文で伝えるが、天皇は定子への思いから悩む。そんな折、一条天皇は彰子を訪ねて言葉をかける。「彰子、そなたは中宮になりたいのか」と聞いても「仰せのままに」を繰り返すだけの彰子に、一条天皇は「彰子には己というものがない。朕も女院様の言いなりに育ったゆえ、わが身を見るような思いだった」と心を動かされる。

この回の見どころは藤原行成(ゆきなり/渡辺大知)の奮闘である! 今までおとなしく、決して一条天皇に対しても強い意見は言わずに、周りとの和を第一に生きてきた行成だが、ついに覚悟を決めて一条天皇に進言する場面はスカッとした気分にさえなる。天皇が下々のように妻を思うことがあってはならない。本来、藤原から出た皇后が神事を行うことになっているが、定子が出家して以来、それらは捨て置かれたままだ。天災が続いているのは神の祟りではないか。

「左大臣様(道長)もそのことを憂えて、姫様を奉ったのだと存じます。ここは一刻も早く、女御・彰子様を中宮様となし奉り、神事を第一にすべきでございます。それがならなければ、世はますます荒れ果てましょう。何もかもわかっておいででございましょう。お上、どうか、お覚悟をお決めくださいませ」とまくしたてる場面は圧巻だった。やるときは、やるのだよ、行成。

務めを終えて都へ戻ってきた宣孝は、娘の誕生を喜び、「賢子(かたこ)」と名づける。

大河ドラマ「光る君へ」第28回より ©️NHK

そんなこんなの中、彰子の立后(りっこう)の儀式が盛大に行われるが、過労のためか、道長が倒れてしまう。そのことは、宣孝の口からまひろにも伝えられる。まひろが一心に「逝かないでほしい」と祈り続けているとき、道長は夢の中でまひろに手を取られていた。「逝かないで」。やがて道長は意識を取り戻す。かつて、疫病で倒れたまひろを救った道長が、今度はまひろに救われたのだ。

その年の暮れ、姫皇子を産んだ定子は世を去った。あれほど一条天皇の寵愛を受けた定子の旅立ちは、今後の天皇と彰子の人生にどう影響してくるのだろう。そして、定子に仕えたききょう(清少納言/ファーストサマーウイカ)は、道長の子を産んだまひろは。

紫式部が藤原道長の子を産んでいたという大胆な仮説には、異を唱える人もいるだろうけれども、夢があって面白いじゃないの、と個人的には大賛成だ。『源氏物語』を書く紫式部の人生がさながら『源氏物語』の人間模様に彩られているようで、入れ子構造みたいな展開がますます面白くなってきた。


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