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【光る君へ】まひろ(紫式部)の時代、平安女性の必修科目は3つ。「習字」「弦楽器の演奏」、あとひとつは?

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鷹橋 忍

父の嘆きが喜びに変わった

必須科目ではありませんでしたが、当時の文人の家では、女子にもある程度の本格的な漢籍教育が行なわれていたといいます(野田有紀子「第五章 紫式部の生育環境 ——受領・文人の娘として」)。

紫式部も、漢籍に親しんで育った女子の一人です。

『紫式部日記』によれば、紫式部の弟・高杉真宙が演じる藤原惟規がまだ子どものころ、漢籍を読んでいたとき、紫式部はそばで聞き習っていただけなのに、不思議なほど習得が早かったため、岸谷五朗さんが演じる父・藤原為時は、紫式部が、「男子でなかったことが、私の不幸だ」といつも嘆いていたといいます(宮崎莊平『新版 紫支部日記 全訳注』)。

ドラマでは、為時はまひろが、見上愛さんが演じる中宮彰子(藤原道長と、黒木華さんが演じる源倫子の娘)が暮らす藤壺に上がり、「女房」として仕えながら、『源氏物語』を執筆することに決まると、「おまえが女子でよかった」と最高の賛辞で、宮仕えに送り出しましたね。

そこで最後に、当時の宮仕えについて、簡単に触れたいと思います。

宮仕えは敬遠された?

「女房」とは、房(部屋)を与えられている地位の高い女官です。つまり、基本的に住み込みです。

女房となれば、主人に代わって男性の応対をする場面も出てきます。ですが、当時の貴族女性は、家族以外の男性に姿を晒すことは、はしたないとされていたことなどから、宮仕えを避けたがる傾向が強かったといいます(野田有紀子「第五章 紫式部の生育環境 ——受領・文人の娘として」)。

紫式部も『紫式部日記』のなかで、友人から「恥知らずで浅はか」と軽蔑されただろうと述べています。

一方、清少納言は、『枕草子』のなかで、「女は宮仕えをして、社会経験を詰んでから、結婚すべき」という意味のことを主張しています。

ドラマのまひろと、ききょうのように対照的な二人ですね。

ドラマのまひろの女房生活は、はじまったばかり。これから何が起きるのか、楽しみです。

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