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88歳の科学者【中村桂子さん】長寿の秘訣とは?「贅沢、無理、競争。私の辞書にはない言葉です」

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ゆうゆう編集部

機械に頼らず、自分の体を使う。運動になり、省エネにもなります

600㎡の広い庭を案内していただくと、そこは小さな森のよう。地面は平坦ではなく、段丘になっている。レンガ造りの階段を下りると、片隅に木の枠で囲まれた落ち葉だめ(コンポスト)がある。

「ほうきで掃いた大量の落ち葉をここに集めてためておきます。そこに台所の生ゴミ、たとえば野菜クズや卵の殻などを入れると、2日ぐらいで分解されて形が消え、やがて腐葉土になります。つまり生ゴミがゴミでなくなるわけです。できた腐葉土を庭に返せば、次に育つ植物につながる。自然界では命が循環しているのです」

落ち葉を掃き、コンポストに捨てる。ほぼ毎朝行っているという庭の手入れで足腰が鍛えられるのだろう。庭の階段を上り下りして作業をする中村さんの健脚ぶりに驚かされる。

「そうね、庭掃除はいい運動になります。風向きを見て落ち葉を掃く場所を考えたり、頭も使いますし。カサカサと動く落ち葉の感触も心地よく、楽しい運動です」

そして、こう話を続けた。

「今は皆さんが『省エネ』を意識されていますが、何でも機械に任せるのではなく、自分が動いて自分のエネルギーを使うことが一番の省エネだと私は思いますね。ときどき路面清掃車を見かけるけれど、ちゃんと掃けてなくて、落ち葉が残っていたりします。清掃車は大量の電気を使うでしょ。人間がほうきで掃けば無駄な電気エネルギーを省けるのに、って思います」

草木を育てて癒やしの空間に

自然の樹木に加えて藤やバラなどの花々も。富士山を望める庭には蝶やトンボが飛び回る。土に触れ、生き物の命の営みを感じられる場所。

落ち葉のコンポスト

庭の一隅に設けられた落ち葉だめに、集めた葉をためておくと、やがて腐葉土に。「1年ほどたったものを下から取り出して庭に戻します」

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