ジブリで人気を博した【井上あずみさん】「お尻丸出しの私をイケメン理学療法士さんが助けてくれました」脳出血で倒れても明るく生きるコツ
今の私にしか歌えない歌がきっとあるから
井上さんは「さんぽ」と「となりのトトロ」を歌い、大きな拍手に包まれた。
「夫は、『毎回毎回、進歩していることがわかってうれしい』と言ってくれました。ステージに立つことが、私にとって最良のリハビリかもしれません」
今年は4月以降、香港、マカオ、ジャカルタなど海外でのコンサートにも招かれている。
「今の自分にしか歌えない歌があると思うんです。高い声を出すことはできないけれど、以前の自分が苦手だった低い声が出せる。『あずみさんには使命があるんだよ。病気になったあなたが歌うことに意味がある』と友達に言われて、改めて頑張ろうと思いました」
目標は2つある。ひとつは歩けるようになること。支えてくれている家族のためにも、歩きたいと願う。もうひとつは「君をのせて」を立って歌うことだ。若い頃、歌手としてなかなか芽が出なかった井上さんの人生を変えてくれた曲であり、脳出血で倒れる直前に歌っていたのもこの曲だった。
「とても大切な曲です。この曲を愛する人が日本にも世界にも大勢いるのだから、両足で立って歌えるよう頑張ります」
井上あずみさんの「プラス思考」で生きるヒント
目標があると頑張れる
小さいことでも「できる!」が積み重なると、前向きな気持ちになれるもの。「退院すること、1年後にコンサートを開くことを目標にして、うつになりそうな状況を脱しました」
不自由も新たな発見として面白がる
脳の障害によって起きる変化や回復の過程を客観的に眺め、「脳って面白い」と夫婦で話している。まだ本を読むのはつらいが、映画やドラマは見られるようになった。
感謝の気持ちを忘れない
病気になったことで、改めて「自分は支えられて生きていた」と感じている。だからこそ自分が回復することが恩返しだと信じているし、感謝の気持ちを言葉にすることも忘れない。
取材・文/神 素子
※この記事は「ゆうゆう」2025年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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