「どうやったらモノを手放せる?」50代からの【断捨離】小さな場所からコツコツと
“今の自分”を基準にモノの新陳代謝を
モノを手放すかどうか、ふるいにかけるとき、判断基準になるのが「要・適・快」の3つの視点だ。
「自分軸と、『今』という時間軸で考え、このモノは、今の自分に必要か(要)、今の自分にふさわしいか(適)、自分にとって心地いいか(快)、を自身に問いかけるのです。最初は、問いかけても判断できないモノが多いでしょう。思考・感覚・感性を総動員して、今の自分とモノとの関係性を根気よく見つめ直すことが大事」
要・適・快の逆が、「不要・不適・不快」。不要は、使えるけれどなくても困らないモノ。不適は、かつては大切だったが今の自分には合わないモノ。不快は、使っているけれど違和感や不快感を覚えるモノ。家にため込んだ多くのモノは、この3つに該当する。
「断捨離は、不要・不適・不快なモノを手放して、要・適・快のモノに入れ替える作業でもあるのです。たとえば自分が一番輝いていた頃に着ていた服など黄金期のモノや、かつての趣味の刺繍作品など頑張った証しは手放しにくいのですが、年を重ねて自分が変化すれば、モノとの関係性も変化していくのは自然なこと。もう子育ても終わった、仕事もリタイアした。なのに当時のモノをため込んでいるのは、わかりやすく言うならば、30代のとき愛用したコートの上に40代、50代のコートを重ね着して着ぶくれしている状態。だから、体も心も重くなって動けないのです」
捨てられないモノは、過去の自分や人間関係への執着の象徴。
「過去のコートは脱ぎ捨てて、執着から離れ、身軽になりましょう。住まいという舞台で、主役として輝くには、今の自分に必要な大道具、小道具をそろえて、今の自分にふさわしい衣装を着ないと、ね」
常に新陳代謝するのが断捨離だと、やましたさんは言う。
「断捨離は、必要最小限のモノで暮らすミニマリストとは違います。捨てるモノもあれば、新しく取り入れるモノもある。60代、70代……何歳になっても、そのときどきで、自分にとって最適な状態にアップデートしていくのです」
取材・文/村瀬素子 イラスト/タナカユリ
※この記事は「ゆうゆう」2025年6月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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