60代はグレイヘアで。美容院の頻度は?ヘアケアは?「グレイヘアの現実」を告白【広瀬裕子さんのターニングポイント#3】
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ゆうゆうtime編集部
「白い髪は、未来の自分と手をつなぐこと」
―グレイヘアへの移行期には、洋服を買うのをやめていたとか。
髪の色が白くなったら、似合う服が変わるかもしれないと思ったからです。白髪だとビビッドな色の服が似合うようになると聞くので、急にピンクが着たくなったりするかなと思いましたが、今のところそれはないですね。白というよりグレーだからかもしれません。買わないと決めたら、すてきと思う服があっても「今はやめておく期間だから」と気持ちをさっと切り替えられました。
―無事グレイヘアになって、お買い物も解禁ですね。
それが、髪色が落ち着いても新しい服が欲しいという気持ちは湧いてこなかったんです。買わないことでの服の数が増えない気持ちよさや、日々同じ装いを続ける快適さから、気がつかないうちに価値観がシフトしていました。
―著書にあった「白い髪は、未来の自分と手をつなぐこと」という一節が印象的でした。
著書の大きなテーマにもなりましたが、60歳はこれから訪れる70代、80代へ向けての新しいスタート。「新しい髪色の私」もはじまりました。ヘアカラーに限らず、これからは苦手と感じることは無理をしないで、自分が心地よくいられる工夫していこうと思っています。50歳のときより、さらにそう感じるようになりました。
―スタートしたばかりの60代、どんな期待がありますか?
あまり期待はしていなくて(笑)、淡々と過ごしていきたいというのがあります。たとえば郊外に移住したりなど、60歳になると暮らしをスローダウンさせてゆるやかに暮らしていきたいと考えるかたも多いと思います。でも私は、「自分のリズムで走る」と先日、友人に宣言していました(笑)。東京は外に楽しみが多い街なので、そういう意味でも東京で暮らすことにしてよかったですね。
私もそうですが、何歳まで生きるかわからないから不安なんですよね。だからそれをあまり考えすぎず、毎晩眠りにつくときに「楽しかった」と思いたい。私、「楽しかった」と「おいしい」という言葉が好きなんです。ひとり暮らしなので、おいしいものをいただいたときは、わざわざ声に出して「おいしい」と言っています。これから「楽しかった」や「おいしい」をたくさん言える60代にしたいと思っています。
広瀬さんのターニングポイント③
「50代後半でヘアカラーをやめて、過程も楽しみながらグレイヘアに。髪の毛の色で印象が左右されるとも感じつつ、60代は自分の心地よさを大事にしていきたいと思っています」

60歳からあたらしい私
広瀬裕子(著)
扶桑社(刊)
60歳はあたらしいスタートラインととらえ、小さな暮らし、グレイヘア、家族の看取りなどをていねいに綴ったエッセイ集。夕食の食べ方を変えたり、布団生活をはじめたりと、今の年齢と住まいに合わせた試行錯誤の数々にも共感を覚える読者が多数。
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撮影/加藤新作 取材・文/志賀朝子
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