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朝ドラ【あんぱん】速記のメッセージは最大級の愛か。死期を悟った次郎が、これからの話をしようと、のぶを励ます

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田幸和歌子

正義は簡単にひっくり返るから

朝ドラ【あんぱん】速記のメッセージは最大級の愛か。死期を悟った次郎が、これからの話をしようと、のぶを励ます(画像4)

「あんぱん」第63回より(C)NHK

焼け野原となった高知の街で、4年ぶりにのぶと嵩は再会する。のぶは次郎のこと、学校のこと、嵩は千尋のことなどを報告する。
「うち生きちょってええがやろうか」

「生きる」ということ自体に疑問を感じ、嵩に自分を責める言葉を問いかけるのぶに対し、
「死んでいい命なんてひとつもない!」
と、嵩は言った。
「正義なんか信じちゃいけないんだ。そんなもの簡単にひっくり返るんだから」

もう一度、“逆転する正義”というものを、のぶに、そして我々視聴者にも嵩は突きつける。正義とされるものは、簡単にひっくり返るものだと。しかし、嵩はこう続けた。

「でも、もし逆転しない正義があるとしたら……全ての人を喜ばせる正義なんてこの世にあるかどうかわからないけど、僕はそれを見つけたい」

本作の核心部分、それこそ嵩のモデルとなった作家・やなせたかしが『アンパンマン』をはじめとした数々の作品を通して伝え続けてきたことだ。

亡くなった次郎は、病室で何かを描き続けていた。速記によって記されたそれを一つづつ読み解いていくと、それは愛するのぶに向けた次郎からのメッセージだった。
「のぶへ。自分の目で見極め、自分の足で立ち、全力で走れ。絶望に追いつかれない速さで。それがぼくの最後の夢や」

絶望を乗り越え、とどまることを知らなかった涙に「サラバ」と告げる。次郎が残してくれた最大級の愛を胸に、のぶはようやく前を見て、絶望に追いつかれないように再び「走り出す」ことを決意する。

次郎の遺志を引き継ぐように速記を身につけ、見たものを書き留めているさまが、偶然高知新報編集局の東海林(津田健次郎)の目にとまったことがきっかけとなり、新聞社につとめることとなった。

いよいよ本格的に戦後を歩きはじめたのぶ。新聞社でどのような運命が待ち受けているのか、第14週の放送を楽しみに待ちたい。

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