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朝ドラ【あんぱん】速記のメッセージは最大級の愛か。死期を悟った次郎が、これからの話をしようと、のぶを励ます

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田幸和歌子

のぶが撮った次郎の写真はピンボケで……

朝ドラ【あんぱん】速記のメッセージは最大級の愛か。死期を悟った次郎が、これからの話をしようと、のぶを励ます(画像2)

「あんぱん」第61回より(C)NHK

結核で海軍病院に入院する夫・次郎(中島歩)の容体は悪くなるいっぽうだ。戦後の物資不足ゆえ、まともな食事も供されず、薬も足りない。互いに信頼し愛し合う夫婦ではあるが、その病気ゆえ近づくこともできない。

「うちは、子どもらぁまで巻き添えにしてしまいました」
自分を責めるのぶに、次郎はこれからの話をしようと励ます。それは死期を悟ったうえで、「これから」を生きるのぶを思ってのものだったかもしれない。のぶのもとに危篤を告げる電報が届き、ほどなくして次郎はこの世を去る。のぶの心を絶望が次々と塗りつぶしていく。

遺品を整理するなか次郎のカメラに残されたフィルムを現像してみると、そこに写るのはのぶの写真ばかりで、一枚だけあった、のぶが撮った次郎の写真、そしてそれがピンボケなものだったことがまた、涙を誘う。

いっぽうで、嵩(北村匠海)は復員し高知へと戻ってきた。柳井家では伯母の千代子(戸田菜穂)が涙を流して帰還を喜んでくれたが、弟の千尋(中沢元紀)は伯父の寛(竹野内豊)の写真の横に並べられ、戦死したことを告げられた。

「生きて帰ってくるなら、ぼくじゃなくて、千尋ならよかったのに」
戦地での悲惨な体験に加え、嵩にとってもやはり空虚と絶望の終戦は、こんな自暴自棄な言葉を口にさせた。

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