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「子供は別の人生を歩んでいる」年齢を重ねたからこそ思う、人生で一番大事なこととは?【斉藤由貴さんのターニングポイント・後編】

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ゆうゆうtime編集部

前回は13年ぶりにトライする舞台『Once』と斉藤由貴さんが感じた「老いのターニングポイント」について、お話を聞きました。今回はデビュー40周年である今年、ここから振り返った時の斉藤さんの「キャリアのターニングポイント」、そしてご家庭のこと、お子様との関係性を、慎重に丁寧に語ってくださいました。

▼前回のお話▼

>>【斉藤由貴さんのターニングポイント・前編】58歳・元アイドルの俳優が語る「ついに私にもきたか…」老いを感じた瞬間

アイドルとしてもてはやされた時にぶつかった「ミュージカル」という壁

―前回は「老い」を感じたとおっしゃる更年期について、お話してくださいました。今回は歌手デビュー40周年となる今年だからこそ思う、斉藤由貴さんの「お仕事のターニングポイント」についてうかがわせてください。多彩なキャリアでこれ、と1つに絞り切れないとは思いますが、いま振り返っていかがですか?

斉藤由貴さん(以下、斉藤) ターニングポイントはたくさんありすぎます。でも、舞台でいったら割とデビューしたての頃の話になってしまうのですが、『レ・ミゼラブル』です。帝国劇場ではじまったこのミュージカルの日本公演の初演でコゼット役で出させていただいたのですが、これは自分にとっては非常に学びの場になりました。自分で言うと本当にバカみたいなのですが、その頃ってアイドルとして突然世に出て、十分な下積みがなかったというか、本当にデビューしたてなのに主演ばかりいただいていた時期なんです。

一方、『レ・ミゼラブル』の主演はジャン・バルジャンで、私のコゼットという役柄はとてもピュアな女の子で、非常に大事な役であるにも関わらず、割と演技者としてはやりがいが無いと言ったら語弊がありますが、お客様のインパクトに残りづらいというところがあるのです。みんなコゼットをやる方は当たる壁だと思うのですが、本当にこの役って暖簾に腕押しみたいなところがある難しい役なんです。

だから、その時に作品の中で与えられた役割を全うするということや、劇評(その作品に対する評価記事など)に左右されて自分の仕事を全うできないようになってはいけないことなどを学びました。

実はイタリアから帰ってきたばかりなんです

―1回目でおうかがいした「自分は主演じゃないから、悪目立ちせずかといって役割もきちんと全うする、そのバランスが難しい」というお話につながりますね。プライベートでのターニングポイントはいかがでしょう?例えば斉藤さん世代のユーザーの皆さんからは「子育てが終わって心にぽっかり穴があく」というようなことをお話される方もいます。斉藤さんはいかがでしょうか…?

(斉藤) 私、実はこの取材の2日前くらいまでイタリアに行っていたのですが、下の娘と一緒に旅をしていたんです。娘がその旅先の近辺で留学をしていたもので、そろそろそれが終わるから…ということで。彼女は最後にイタリアに行きたいと言って、近いし良いんじゃない?と伝えたら、「じゃあマミー、一緒にイタリア旅行しようよ」と。たまたま私の方もスケジュールが空いていたので、一緒に行くことになったんです。それで、ベネチアで待ち合わせして、ローマまで旅してきました。

そんなに長い留学ではなかったのですが、久しぶりに会ったらなんだか彼女、とっても大人になっていて。その時に、もう私の娘とか子供という一括りではなくて、あくまで一個人として存在しているんだなと。「この子はもう離れたな、しっかり別の人生を歩んでいるな」ということを実感した旅でした。
これは、私の中ではある意味とても楽になりました。

―寂しさみたいなものは感じられませんでしたか?

(斉藤) そうですね…。それも1つ1つ過ぎていく人生のフェーズというか、過程と受け止めています。彼女が大学に入ったくらいからうすうすこういう時期が来るなというのは、予感していて。それに、私もともとお母さんお母さんしている、良いお母さんじゃなかったから。
ただ、最近もっぱらやっていることと言えば…あ、でもいいか悪いかはわかりませんし、自分がいいお母さんではないという前提でお話しますが、ちょっとかわいいデパコスを見かけたらそれを買ってきてなんでもない日にプレゼントしてみたり、今日は奮発して普通のチョコミントアイスではなくハーシーズのチョコミントアイスバー買ってきたよ、みたいなこと。すごくつまらないことなのですが(笑)、そういうコミュニケーションを図っていて、それ以上のことはやらないというかできませんね。お説教などもしません。できるタイプでもないですしね。

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