【認知症母との介護生活#22】認知症の母との靴選び!介護生活で気づかされた日常の小さな選択の難しさ
60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。
▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼
>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】母の靴を買いにデパートへ
先日
母の 普段使い用の靴を 買いに
ふたりで デパートへ出掛けた
コロナが心配なので
車で行って ササッと買って
ササッと帰ってくるつもりだった
の ・ だ ・ が
そうは 問屋が卸さなかった
(↑ショーワな言い方!!)
マンガに描いたように
2つまで 候補を絞るのは
比較的 簡単だった
でも その後
どちらの靴にするか で
迷宮に突入した
片方は
少しだけ ヒールがある
オシャレなデザイン
そして もう一方の靴は
機能性重視の
紐でしっかり結ぶタイプ
両方 履いて
少し 歩いてごらんになったら
どうですか?
店員さんに そう促されて
靴を替えながら 歩き回る
母
どう?
と 私が聞くと
う~ん どっちも歩きやすいわね
という返事
でも どちらかと言ったら
どっち?
う~ん そうねえ…
紐靴の方は 安心感があるわね
でも
こっちも 軽くて 簡単に履けるし
いい感じ
迷っているふうを 装いながらも
その言葉の端々から
私は
母は オシャレな靴の方を
気に入っていることがわかった
でも
母は 膝が悪い
膝のためには
足をしっかりと包み込む
紐靴のほうが
絶対 いい
とはいえ
履くのは 母だ
母が
気に入って 選ばなければ
意味がない
私は
あ この紐靴
内側に クッションが付いていて
履き心地 よさそうね
とか
つま先の カーブのところが
意外とオシャレだよ
などと言って
さり気なく 紐靴の方を
プッシュする
すると 母は
それに対して
紐靴って
どうしても 運動靴っぽいわよね
やっぱり 踵があると
フォーマルなところにも
行けるんじゃないかしら
などと オシャレ靴を擁護する
ただ
悲しいかな
認知症になってからの 母は
自分の決断に
自信が持てないのだった
これで いいのかしら
本当は おかしいんじゃないかしら
と 不安になって
かつての母なら
スパッ と決めていたところで
自分を 主張しきれない
しばらくすると
母は
ポンコツ頭を フル回転させたせいか
だんだん 混乱してきたようだ
で 結局
どっちにするの?
と聞く 私の言葉をスルーし
虚ろな目をして
ただひたすら 靴を
履いて脱いで 履いて脱いで…
多分
靴を脱いで 次の靴を履く間に
母の中で
既に脱いだ方の 靴の記憶は
消え去り
常に
その時履いている靴の感覚しか
ないのだろう
私としては
母自身に
靴を 選ばせたかった
だって
自分の履く靴くらい
当たり前に 自分で決めたいだろう
少なくとも
母は そういうタイプの人間だ
これまでの人生だって
自分で 決めて
自分で 道を切り拓いてきた
戦後の混乱期に
田舎から 東京の大学を目指したり
専業主婦でありながら
父に内緒で
株をしたり 投資をしたりして
安月給だった 父より
稼いでいた時期もあったらしい
1時間近く 経っただろうか
母は 相変わらず
靴を 脱いだり履いたりしていた
私は
もう 待ちきれなかった
おかあさん
膝が悪いから
やっぱり 紐靴にしなよ
膝が良くなってから
おしゃれな靴
また 買いに来よう
そう言って
半ば強引に ヒモ靴に決めさせた
初老の店員さんは
この 時間のかかる買い物客に
内心は うんざりだったろうけど
顔には 一切出さず
母の すべての動作に
付き合ってくれた
そのことが
私は 本当に 有り難かった
だから
予定には 全然なかったけど
自分の靴も 買ってしまった
…ってか
母を待っているうちに
自分も 欲しくなっちゃって
ちなみに
私の場合は
ピンポイントで 選んで
試し履き 一回の
即決ね
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