中村獅童さんが語る「歌舞伎者だもん、アナーキーな気持ちをもっていないとね」
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ゆうゆう編集部
批判は素直に聞き、取り入れるべきは次の日から
昨年1月の歌舞伎座で長男・陽喜くんがお目見得したが、12月の超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』では、二男の夏幹くんがお目見得となる。昨年50歳を迎えた獅童さんは、今、父としても、後進を育てる立場としても、新たな責任を担いつつある。
「楽屋に僕が子役のときに使っていた鏡台と、大人になってから使っている鏡台が並んでいるんです。僕自身は父とそこに並んだ経験がないものだから、改めて父子相部屋となって自分の子どもと実現できているのは、やはり感慨深いものがありますね」
この子たちが活躍するであろう未来の歌舞伎界が豊かになっていかなければいけない、と改めて思う。
「どんな意見も真摯に受け止めたいと思うので、公演中は努めてエゴサーチして全部の意見に目を通します。なかには、批判でも当たっているなと思うものもある。それについては、次の日から取り入れたりもします(笑)。そこはニュートラルです」
何かを成し遂げようとするモチベーションの原動力は「怒り」だ。世の中に対して、何かおかしいと思う社会に対して。
「怒りに満ちあふれていますよ(笑)。帰って子どもの顔見たら、『ああ、今日も終わったな』って穏やかな気持ちになるけど、またいろいろ考えていたら、すぐに怒りが湧き上がってきて(笑)。でも歌舞伎俳優なんだから、アナーキーな気持ちをもっていないといけないと思っているんです。歌舞伎は歴史の中でいつも怒ってきた。何度も時の政府に上演を禁止されながら、それでも切り拓いて生き抜いてきた芸能なんです。未来に残すためには、闘い続けるのみです」
PROFILE
中村獅童
なかむら・しどう●1972年東京都生まれ。
81年、歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』(いもせやまおんなていきん)で二代目中村獅童を名乗り初舞台を踏む。
2003年映画『ピンポン』で日本アカデミー賞をはじめ各新人賞5冠。映像作品でも活躍するとともに新作歌舞伎にも意欲的に取り組んでいる。
出演作に映画『硫黄島からの手紙』、大河ドラマ「八重の桜」「鎌倉殿の13人」など。
INFORMATION
シネマ歌舞伎 『唐茄子屋 不思議国之若旦那』
歌舞伎の舞台公演映像を映画館で楽しめる「シネマ歌舞伎」。今回は、22年10月に上演の平成中村座初の新作歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』をシネマ歌舞伎として全国で公開。古典落語「唐茄子屋政談」をベースに、ポップで疾走感あふれる舞台が宮藤官九郎作・演出で展開する。
超歌舞伎 Powered by NTT 『今昔饗宴千本桜』
獅童さんがバーチャルシンガーの初音ミクさんと共演する超歌舞伎。古典歌舞伎とNTTの技術をはじめとした最新のテクノロジーが融合して作り出す舞台は、16年の千葉・幕張メッセでの初演から数えて8年目に。12月、いよいよ歌舞伎座に登場。伝統と革新のコラボレーションに期待大だ。
「十二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
出演/中村獅童、初音ミク
脚本/松岡 亮 演出・振付/藤間勘十郎
12月3日(日)〜26日(火) 第一部 午前11時開演
販売/チケットホン松竹(☎︎0570-000-489 受付10時〜17時)
※この記事は「ゆうゆう」2024年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/中村彰男 スタイリング/富田彩人(WHITE Co.) ヘア&メイク/masato at B.I.G.S.(marr) 取材・文/志賀佳織
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