【老後資金】「いつのまにか減っていた…」を防ぐ!特別支出の見直しとは?
「年金の範囲で暮らしているのに、いつのまにか貯蓄が減ってしまう」という声が多く聞かれます。その原因のひとつが「特別支出」が膨んでしまうこと。特別支出をコントロールするコツを身につけておきたいものです。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに教えていただきましょう。
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【57歳Hさんの悩み】
固定資産税や自動車保険など、特別支出は今はほとんどボーナスから出しています。ボーナスのない老後は、どう備えればいいですか。
【井戸さんのアドバイス】
・老後は、特別支出は貯蓄から出すのが基本です。
・年間の特別支出をリストにして、ムダな支出はカットしておきましょう。
・特別支出の予算を決めて、必要な額を貯蓄からとりおいておくと安心です。
・できる範囲でいいので、毎月少額ずつ積み立てて備えるのもおすすめです。
老後資金が減ってしまう意外な落とし穴は「特別支出」
年金生活で「やりくりして年金の範囲で暮らしているのに、いつのまにか貯蓄が減ってしまう」という声をよく耳にします。その原因のひとつが、特別支出です。
特別支出とは、ふだんはかからないけれど、年に1~数回、あるいは数年に1回、発生する支出のこと。固定資産税や冠婚葬祭費、家電の買い替え費用などが代表的です。
現役時代はボーナスから支払うことが多いですが、ボーナスがない年金生活では貯蓄から出すことになります。無計画に貯蓄を取り崩していると、老後資金がどんどん減ってしまいます。
仮に毎年50万円の特別支出を貯蓄から取り崩したとすると、65歳から95歳までの30年間では1500万円。
でも、ムダをカットして特別支出を年間30万円までおさえられれば、30年間では900万円に減らせます。その差は、600万円にも!
長い老後を安心して過ごすために、特別支出のコントロールは欠かせません。今から、特別支出の中身を見直して、ムダな支出をカットしておきましょう。
特別支出を洗い出してみよう
まず、いま、わが家の年間の特別支出がいくらかかっているか、リストにしてみましょう。
家計簿をつけている人は、記録を見ながら書き出すと簡単です。つけていない人は1月から時系列に思い出して書き出していくといいでしょう。
【年間の特別支出の例】
1月 孫へのお年玉、実家への帰省、子ども家族の帰省を迎える準備
3月 ひな祭り、卒業祝
4月 入学祝、お花見
5月 自動車税、固定資産税、端午の節句、母の日、ゴールデンウィークの旅行費用など
6月 父の日
7月 お中元
8月 夏休みの旅行費用など
9月 敬老の日
12月 お歳暮、クリスマス、冬休みの旅行費用など
このほか、年払いの生命保険料や自動車保険料、家族の誕生祝、突然やってくる親戚の結婚祝やお葬式などの冠婚葬祭費などもあります。
すべて書き出して合計すると、意外な多さに驚くのではないでしょうか。