【虎に翼】“契約結婚”に近い結婚生活のスタートは、朝ドラの描いてきた結婚観を大きく変えるものだろう
公開日
更新日
田幸和歌子
法廷に立てない、“手段”としての結婚もできない。寅子もさすがに折れそうになる。そこに現れたのが、夢あきらめ猪爪家を出て行った優三(仲野太賀)である。
「僕じゃダメかな」
こう切り出す優三。プロポーズである。優三からすれば、渾身の思いだったろう。しかし寅子は、「この手があったか」と、目から鱗が落ちたかのような受け取り方をする。昔から家族同然によく知る優三ならこれ以上いい「パートナー」はないということだ。花岡との関係もそうだが、少なくとも寅子は現時点では、そもそも異性への恋愛感情というものがあるのかどうかわからない。優三は寅子にとって恋愛対象というよりも、「家族」に近いのだろう。“手段”のためのうってつけの存在なのだ。両親に結婚を報告したとき、母のはる(石田ゆり子)も思わず「その手があったか」とつぶやいてしまう。
「社会的地位を得るための、結婚」
そうきっぱり言い、優三との結婚の意思を報告する。朝ドラ受けでも「逃げ恥」とたとえられていたように、寅子と雄三の結婚、少なくともこの時点での寅子にとっては完全に手段、まさにその「逃げるは恥だが役に立つ」や「王様に捧ぐ薬指」など近年のドラマでよく見られる「契約結婚」に近い結婚生活がスタートした。
朝ドラの世界で、多くの作品で結婚はストーリー上でのビッグイベント、そこにいたるまでのヒロインと相手役とのロマンスも、重要な要素として描かれることが多かった。しかし、親の勧めに従ったわけでもなく、家のしがらみでもなく、本人の明確な意思ながら恋愛感情を伴わない結婚は、朝ドラの描いてきた結婚観を大きく変えるものだろう。
こうして、優三の淡い思いはあるものの、“手段”としての結婚生活はスタートし、そのおかげで信頼を本当に勝ち取ったかどうかはともかく、寅子は初の弁護士仕事を獲得した。
本格的な法曹界デビュー、そして優三との結婚。並行してじわじわと日本を包んでいく様子が放送や新聞記事などで少しずつ描かれてきた戦局の悪化、太平洋戦争の開戦。つかんだ幸せは、どう展開していくのかますます目が離せない次週である。
\\あなたの声をお待ちしております//
↓↓をクリックしてアンケートへ
【読者アンケート実施中!】ハマっていることも、お悩みごとも、大募集!!
★あわせて読みたい★
【光る君へ】右大臣となった藤原道長(柄本佑)。紫式部(吉高由里子)とかつて逢瀬を重ねた廃屋で再会を果たす二人 【コッソンビ】王位争いで死闘が続く16〜18話。怒涛の最終局面へ【韓国ドラマ】