「老後は賃貸のままで大丈夫? 家を購入したほうがよい?」老後の住まいを井戸美枝さんがアドバイス
賃貸に暮らしつづける場合
今後、年金生活になっても、家賃を支払い続けられるか、不足するとしたら、貯蓄でカバーできるかどうか、具体的な資金プランをたててみましょう。
たとえば、年金が14万円に対して家賃が5万円なら、残りの9万円で水道・光熱費や食費などの生活費をまかなえるか、今の生活費から予想してみてください。難しそうなら、家賃がいくらまで出せるか、計算してみましょう。
例)
年金14万円、家賃5万円で、収支がトントンか黒字→基本的な生活費を貯蓄から補てんする必要はなし。
赤字が月2万円でるなら、2万円×30年(95歳-65歳)=720万円の補てん費用が必要。
老後は、貯蓄から、楽しみのためのレジャー費やイザというときの医療費、介護費(高齢者施設への入居費用を含む)なども出すことになります。今の住まいから引っ越すつもりなら、引っ越し費用も必要です。
それらをあわせても、家賃がずっと支払っていけそうか、しっかり計算してみてください。65歳以降も働いて収入を増やしたり、今の貯蓄を高齢期のためにNISAなどで運用することもあわせて考えてみるといいでしょう。
家を購入する場合
家を買う場合は、貯蓄から老後資金をとりおいて、どれくらい頭金が出せるか考えてみましょう。住宅ローンを組む場合は、できれば60歳、遅くとも65歳までに返済を終わらせたいもの。自分が出せる額から、購入する家の予算を割り出してみましょう。
住宅ローンのシミュレーションは、住宅金融支援機構の資産計画シミュレーションが便利。
https://www.jhf.go.jp/simulation_loan/
月々やボーナスから返せる額、返済期間を入力すると、借りられる額が割り出せます。それに頭金を加えた額が、無理なく購入できる額になります。すでに借りられている場合は、返済方法の変更シミュレーションもできます。
ただし、諸費用が新築で3~7%、中古で6~10%程度必要ですから、その分は割り引いて考えてください。住宅ローンの借り入れ年数が長くなり、手数料が高くなってしまった例もあります。金融機関やサービス内容など住宅ローンの種類によって諸費用の金額は異なるということを覚えておきましょう。
例)
毎月の返済8万円、ボーナス時10万円、返済期間13年(52歳~65歳まで)
借りられる額1325万円。
家の購入価格 1325万円+頭金-諸費用