「老後は賃貸のままで大丈夫? 家を購入したほうがよい?」老後の住まいを井戸美枝さんがアドバイス
賃貸と持ち家、それぞれの暮らしをイメージしてみよう
賃貸と持ち家、いずれも一長一短があって、どちらがいいとは言えません。結局は、自分がどちらの方が暮らしやすく、安心か、ではないでしょうか。
ちなみに私も、持ち家の一軒家から賃貸住宅に引っ越した経験があります。固定資産税やメンテナンス費用などがかからない賃貸の身軽さが魅力で、資金計画も95歳まで家賃を支払う試算をしたうえでの決断でした。でも、毎月家賃を支払い続けるのが思いのほかプレッシャーになり、引っ越して1年で分譲マンションに転居することに。結局、私の場合、自宅は家賃を支払わずにずっと暮らせるという安心感がとても大事だったのです。
賃貸でも安心して暮らせる人もいますし、私のように持ち家の方が安心できる人もいます。自分がこれから賃貸で暮らした場合、持ち家で暮らした場合、それぞれの暮らしを具体的にイメージしてみてください。
そのうえで、しっかりと資金計画をたてておけば、後悔のない選択ができるはずです。
ワンポイント サ高住も選択肢の一つに
いずれ高齢者住宅への入居を考えているなら、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も選択肢の一つ。見守りや生活支援サービスが受けられる賃貸住宅で、バリアフリーなど高齢者が暮らしやすく整備されていて、ほとんどの場合、食費も提供しています。
入居できるのは、60歳以上が一般的。一般の賃貸住宅と同じように、礼金・敷金を支払って入居し(不要なところもあり)、毎月家賃に加えて、サービス提供費や食費などを支払います。居室は25㎡以上が基準で、少数ですが、40㎡以上など広いところも。
介護が必要になると、自宅でいるのと同じように、外部または併設の介護事業所を選んで利用します。自立で入居するのが一般的ですが、その後の対応は、介護になっても住み続けられる、看取りまで行う、など施設によってさまざま。24時間対応で介護サービスを提供してくれる施設もあります。
終の住まいにするなら、入居前に、介護サービスの内容や最後まで暮らせるかどうか、必ず確認しましょう。介護が必要になると、介護サービス費が別途かかるので、その点もあわせて資金計画をたてておくと安心です。
井戸美枝さんプロフィール
いど・みえ●ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『フリーランス大全』(エクスナレッジ)。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
X(旧Twitter):@mieido
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