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「このあときっと面白くなるはず!」と視聴者が期待する理由とは?【おむすび】第2週 

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田幸和歌子

「このあときっと面白くなるはず!」と視聴者が期待する理由とは?【おむすび】第2週 

「おむすび」第10回より(C)NHK

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1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼結(橋本環奈)がいきなりギャル化したりはしない。ヒロインが少しずつ成長していく様を見守る展開か【おむすび】第1週

「お、今回はいいかも!」と思いたいのである

放送開始から2週間。とにかく内容ではなく「おもしろい」「つまらない」の二極化した感想で視聴者の感想もメディアの記事もそこに偏ってしまう朝ドラになってしまっていることは事実である。

これが、橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『おむすび』が今のところ置かれた状況だ。ついでにいえば「脱落」というワードもよくピックアップされている印象も強い。

前回も指摘したが、第1週の時点で、いわゆる「つかみ」があまりうまくいっていない感はある。子役の名演技や、家族や幼なじみ、クラスメートなどとの関係性、作品のメインテーマとの出会いなどが印象深く刻まれることで、「お、今回はいいかも!」と思いたいのである。

もっとも、『おむすび』は、脚本を担当する根本ノンジが昨年夏の発表会見の場で「歴史に残る偉人の話でなく、我々の身近にいる平凡な人の話にしたい」とはじめから公言してスタートした作品である。

作品テーマとして、平成を生きるギャルが栄養士になっていくというものが掲げられているわけだし、第1週のラストでお菓子ばかり食べて栄養不足なギャルを気に掛けるシーンがあること、福岡の特産品などの描写が散りばめられていることで、今後そういう流れになっていくんだろうなということは感じられる。

平凡な人にも平凡なりの紆余曲折があって、栄養士として「食」のよろこび、大切さを知っていったり伝えたりしていく。

特に大きなことが起こらないからこその楽しさを描いた過去の朝ドラ名作としては2017年に放送された有村架純をヒロインとして描かれた岡田恵和脚本作品の『ひよっこ』という好例がある。それこそ大きなことは何も起こらない日常を綺麗に描き出してくれた。

「おむすび」第8回より(C)NHK

毀誉褒貶あるなか、本作のつかみの弱さは、前作『虎に翼』との温度差が大きいこともよく指摘されている。

いっぽうで、前作のテーマ性の強さにハマれなかった視聴者にとっては、「こういうのがいい」と好意的にみる意見だってもちろんたくさん目にする。『虎に翼』は朝ドラらしくない朝ドラとみる向きもあった。

朝ドラも決して朝に見るものではなく、従来からの昼の再放送やNHKプラス、さらには松山ケンイチではないがまとめてイッキ見するなど、個々人の視聴スタイルで楽しむ時代でもある。少なくとも、「朝ドラとはこうである」というこだわりはいったん置いておいて向き合うほうが今はいいのだろう。

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