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【光る君へ】紫式部(吉高由里子)は病に倒れた藤原道長(柄本佑)と新たな約束をかわし「宇治十帖」の執筆をスタート

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志賀佳織

第42回「川辺の誓い」

そして第42回「川辺の誓い」である。顕信の出家で源明子とも大きな溝ができたところへ、道長は、三条天皇から、彰子を皇太后に、妍子を中宮に、そして娍子を皇后にすると告げられる。「娍子のような大納言の息女が皇后となった例はない」と反論すると、「そなたがこれを飲まぬなら、朕は二度と妍子のもとには渡らぬ。渡らねば子はできぬ。それでもよいのか」と迫られる。三条天皇のほうが数枚上手だったのだ。道長は抗うことができず、この天皇の治世での生き方の難しさを改めて痛感するのだった。

大河ドラマ「光る君へ」第42回より ©️NHK

道長は四納言を土御門殿に集め、その対抗策を話し合う。その結果、娍子の立后(りっこう)と同日に妍子の内裏参入を行うことを決める。妍子の内裏参入に多くの公卿を集めて、三条天皇と自分の力の差を見せつけてやろうという狙いだった。天皇は天皇でその策を知り、対抗策として娍子の立后の義と妍子の内裏参入の時間をずらすことにする。しかし結果的に、立后の儀には、藤原実資(さねあつ/秋山竜次)と藤原隆家しか出席しなかった。

後日、道長は内裏の清涼殿を訪れ、三条天皇に娍子立后のあとも、妍子の藤壺にお渡りがないのはなぜかと問う。すると、それは妍子が若い公卿を集めて宴を開いてばかりだからだとの答えが返ってきた。道長は「お上のご寵愛がございますれば、中宮様は変わられます」と畳み掛けるが、嫌味を言われて終わってしまった。

孤独な道長は、まひろの局に立ち寄り、一条天皇のときの『源氏の物語』のようなよい手はないかと相談するのだが、さすがのまひろもどうすることもできないと答える。「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ」

その晩、ついに道長は病に倒れてしまう。その後も回復しないため、道長は三条天皇に辞表を送る。天皇は本心ではそうしたくないと漏らすが、それが通例として辞表を送り返す。そうこうするうちに、道長の病を道綱と実資、隆家などが喜んでいるという怪文書が内裏に出回る。道長は二度目の辞表を天皇に送るも、またしても返される。

その頃、まひろも筆をとることがなくなっていた。そんなある日、道長の従者である百舌彦(もずひこ/本多力)が、まひろを訪ねてくる。「殿様のお加減がおよろしくなく……。殿様に生きる力をお与えになれるお方は、まひろ様だけなのです」との言葉に、まひろは道長の宇治にある別邸を訪ねた。

二人は、近くの川辺を散策することに。やつれて気弱になった道長は「誰のことも信じられぬ」と嘆く。そんな道長に、まひろはこう声をかけた。「もうよろしいのです。私との約束は、お忘れくださいませ」。しかし、道長にとって、まひろとの約束が政の道を邁進してきたすべての原動力だったのだ。それを忘れるということはすべてを失うに等しい。「お前との約束を忘れれば、俺の命は終わる。それで帝も皆も喜べば、それでもよいが」

すると、まひろはこう答えるのだった。「ならば、私も一緒に参ります」。道長はこう返す。「お前は俺より先に死んではならぬ。死ぬな」「ならば道長様も生きてくださいませ。道長様が生きておられれば、私も生きられます」

大河ドラマ「光る君へ」第42回より ©️NHK

その夜、まひろは再び『源氏の物語』を書き始めた。光源氏が亡くなったあとの、のちに「宇治十帖」と呼ばれる巻であった。

世の中がどれほど移り変わろうとも、親しくしていた人々が、波が引くように離れていくときでも、道長とまひろの二人は互いに対する愛と信頼だけは失わない。そして、それが互いのただ一つの生きるよすがにもなっていく。そのことが浮き彫りにされていくような第41回と42回だった。

この先、また政治は急展開していく。道長はどう生きるのか。そしてまひろは……。いよいよラストスパートだ。楽しみに追いかけたい。

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