【着物の楽しみ方】「着物から広がる学びに夢中です」きもの著述家・山崎陽子さん
着物を着ると背筋が自然と伸びてくる
山崎さんの最初の着物は「直感的に風合いが気に入った」本塩沢紬(新潟県魚沼市周辺で織られる紬)。これに季節を限定せず使える唐花模様の帯。長襦袢、小物、足袋、草履もそろえた。
「結婚式やパーティなど特別な日のための着物ではなく、日常+αくらいのほんのちょっとのおしゃれ」という考えが最初からあったという。着付けのレッスンに3回ほど通い、あとは実践の日々。用事がなくても月に3~4回はデパートや美術館などに一人で着物を着て出かけた。
1月に本塩沢紬の袷(あわせ)を購入した後、季節が進み、2枚目となる単衣(ひとえ)を手に入れた6月頃には、すっかり着物にはまっていた。
「着物を着ると気持ちにハリが生まれるのがわかります。普段、私はお化粧もせず髪もボサボサなのですが、着物を着ると少しは手をかけようという気持ちになりますし、背筋も自然と伸びてきます。脱いだ後や着る前のお手入れの時間も楽しいんです。洋服のアイロンかけはあんなに嫌いだったのに(笑)」
一枚の着物に手をかけ、大切に着る昔ながらの丁寧な暮らしが、50代の山崎さんの気持ちにフィットした。
『ゆうゆう』2025年1月号
この記事の執筆者
関連記事