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【高血圧】50歳以降は要注意。「いつの間にか血圧が高めになった」→脳卒中や心筋梗塞などの原因に!

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ゆうゆう編集部

50歳を過ぎたら家庭用血圧計で毎日の血圧をチェック

「50歳を過ぎたら、家庭用の血圧計を備えて測定を」と常喜さん。血圧を測るタイミングは、朝と夜の1日2回。

「朝は起きて30分以内に。排尿だけすませ、すぐに食卓の椅子に座り測ります。起床後は一日のうちで最も血圧が高くなりやすいので、朝、測った血圧が正常値内であればひとまず安心です。夜は寝る前に測りましょう。最もリラックスしている時間帯なので、血圧はおおむね低くなります」

血圧高めが続く場合は医療機関で受診を。

「高血圧と診断された場合は減塩や肥満の解消を心がけ、血圧を下げる薬を服用するのが一般的です。肥満は、血管を収縮させるホルモンが増加して高血圧を招くので、適正体重を保つことが大切。減量は、減塩とともに高血圧の予防に重要です」

塩分を多くとると血圧が上がるのはなぜだろう。

「血液中の塩分濃度が高くなると水分で薄めようとし、血流量が増えるためです」

塩分のとりすぎは腎臓にも関わってくる。

「腎臓には、食事からとった余分な塩分を水分と一緒に尿として排出する働きと、レニンという酵素を分泌して血圧を一定に保つ働きがあります。塩分を多くとると腎臓に負担がかかり、腎臓の機能が低下して血圧の上昇を招きます。

腎臓自体が血管でできたコイルのようなもので、血圧が上がると血管がダメージを受け、さらに腎機能が低下するという悪循環になります」

塩分摂取量は1日7g程度に。治療薬でコントロールを

減塩を実行する際は、どのくらいの量を目安にしたらいいのだろう。

「1日の塩分摂取の目標値は、WHO(世界保健機関)では5g以内としています。厚生労働省の調査では、日本人は1日11gくらい摂取しているとありますが、現実には14~15gとっているのでは? いつもの食事の半分くらいを心がけると7g程度になります。半分に減らすのは難しいと思いますが、工夫していただきたいですね。たとえば、おみそ汁1杯に2gほどの塩分が含まれるので、おみそ汁は1日1杯にするなどです」

塩分摂取が少なく、やせているのに血圧が高い場合は、体質や遺伝が考えられる。

「生活習慣を見直しても下がらなければ薬の服用が必要です。薬を飲むことに抵抗がある人もいますが、高血圧の薬に副作用はほとんどありません。高血圧を放置して起きるリスクのほうが圧倒的に高いのです」

主な治療薬はカルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類。

「様子を見ながら組み合わせて服用します。治療の目標数値は、家庭で測る場合で上が125~134㎜Hg、下が75~84㎜Hgくらい。理想は120㎜Hg台、70㎜Hg台です」

ところで、寒い時期は室内の気温差などで血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞などを起こすヒートショックが心配だ。

「入浴中の事故は多いですね。浴室や脱衣室などを暖かくし、できれば夕方や日中にお風呂に入るなどの対策を。夜中にトイレに起きる場合もあるので、暖房を工夫して暖かく保つといいと思います」

【ドクターから一言】
高血圧の対策は「一に減塩、二に減塩」。
薬もきちんと服用し、命に関わる病気を防ぎましょう。
腎機能のチェックも忘れずに。

取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2025年2月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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監修者

常喜医院 院長

常喜眞理

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

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