「身近な人を失ってから、消極的なことばかり考えてしまう」—禅僧・枡野俊明さんが語る、生と死の向き合い方
大宇宙の真理の中で生かされている
相談者さんは78歳だそうですが、この世に生まれて78年間、心臓が動き、血液を巡らせ、止まることなく呼吸し続けてきたはずです。でもそれは、相談者さん自身の意思や努力とは無縁のものです。何か大きな存在が人を生かしもし、死なせもします。仏教ではこれを「仏性」といいますが、大宇宙の真理ともいえます。私も、これをお読みの方も皆、その真理の中で生きています。いいえ、生かされているのです。
ですから、「日々をどう過ごそうか」と考えているのであれば、ぜひとも生かされていることをありがたいと思い、その気持ちを周りの人に還元していくことを考えてください。自分の楽しみだけでなく、限りある命を世の中のために役立てていくことに、自分の時間を少しでも使ってください。
私は僧として多くの死を見つめてきましたが、人は亡くなるときに「もっとあれをやっておけばよかった」と後悔するか、「すべてやり遂げた」と満足して旅立つかのいずれかです。中間はありません。いつお迎えが来て命をお返しすることになったとしてもいいように、一瞬一瞬を大切に生きていきましょう。お姉さまや姪御さんは、相談者さんに気づきのチャンスをくださったのだと思います。78歳でも、生き直すのに遅いことはありません。
アドバイスいただいたのは
枡野俊明さん
曹洞宗徳雄山 建功寺住職
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山 建功寺第18世住職。庭園デザイナー。多摩美術大学名誉教授。「禅の庭」を通して国内外から高く評価され、2006年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に。『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)など著書多数。
取材・文/神 素子
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