【要注意!】「右の肋骨下の激痛…」食中毒に似た症状の【急性胆のう炎】とは?
再発を防ぐ根本的な治療は手術による胆のう摘出
急性胆のう炎と診断された場合の治療は、次のとおり。
「まず絶食のうえ、抗菌薬の服用や点滴で炎症を抑える治療を行います。胆のう炎を起こした場合は、基本的に手術の適応になります。手術の時期はケースバイケースです。炎症がおさまってから手術を行うのがベストですが、胆のうが破裂する危険や癒着がある場合などは、すぐに手術をすることもあります。また、一時的に胆汁のうっ滞を解消するために、内視鏡で胆のうまで細いチューブを入れて胆汁を流す治療法(胆のうドレナージュ)、体の外側(皮膚)から胆のうに管を入れて外側につけた袋に胆汁を集める治療法もあります。治療後、炎症がおさまったあとに手術をすることが多いですね」
手術は胆のうを取り除くもので、腹腔鏡下手術と開腹手術がある。
「腹腔鏡下手術はおなかに小さな穴を4カ所ほどあけて、胆のうを切除します。体への負担が少なく、入院期間も4~5日程度。ただし、胆のうの状態によっては開腹手術を選ぶ場合もあります」
定期的な腹部超音波検査で胆石の有無を知っておこう
胆のうを取っても、体に影響はないのだろうか。
「胆のうがなくなっても、肝臓から腸につながる部分が胆汁をためる役割を担うようになるので問題ありません。以前は胆のうを取ると1年くらいは下痢をしやすいといわれていました。今は術後、1カ月くらいは脂っこい食べ物を控えるくらいで、普通の食生活に戻ることができます」
胆石ができる原因は、はっきりとはわかっていない。
「太っている人、脂っこいものを好む人に多いといわれていますが、遺伝的なものもあります。とはいえ、肥満ではなくバランスのとれた食生活を送っていても胆石ができる人も。加齢も要因といわれますが20代で胆石がある人もいます。患者は男性よりも女性のほうがやや多く、女性ホルモンの関わりもいわれています」
予防としては、バランスのよい食生活、胆汁の脂肪分が多くならないよう脂質をとりすぎない、便秘をしないなど健康的な生活習慣が挙げられる。
「やはり定期的に腹部超音波検査を受けて、胆石があるかどうかを知っておくといいと思います。胆石があるから必ず急性胆のう炎になるわけではありませんが、経過観察は大切です」
【ドクターから一言】
腹部超音波検査で胆石が見つかったら定期的に検査をして経過観察を。症状が出たら、早急に受診が必要です。
取材・文/田﨑佳子
※この記事は「ゆうゆう」2024年11月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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常喜医院 院長
常喜眞理
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。