【おむすび】「人生初のスランプ」という意外と大変なことになっていた翔也(佐野勇斗)。どのように覚醒するか?
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田幸和歌子
大きなクエストクリアというターニングポイントだった
さて、さくら通り商店街のイベントの一環として、子供たちにむけた夏休み防災訓練が開催された。結たち栄養専門学校の「J班」はこの献立作りと調理に参加する。「何も覚えてないけん」と言うものの、ぐちゃぐちゃの道を時間をかけておむすびを持ってきてくれた女性に、悪気なく「冷たい、チンして」と言ってしまい、そのときの女性の悲しそうな表情がずっと忘れられないというのが、結の中に残る震災の記憶だ。これを、「ほかほかのおむすび」を作ってみんなに食べてもらうことで解消するわけだ。
真夏のイベントでほかほかのわかめごはんのおむすびと暖かいサバツナけんちん汁で食のありがたさを感じられるかどうかは置いておくが、結たちのねらいは大成功、子供たちはみんな美味しそうにわかめごはんのおむすびを頬張り、おかわりも求められてみんな笑顔だ。
そしてナベさんという頑なに閉ざした心を持つ人物への最後の扉を叩いたのは、やはり結、結が差し出したおむすびだった。
「美味しいもん食べたら、悲しいことちょっとは忘れられる」
これは第1話の帽子を落とした子に結がトマトを食べさせたり、お菓子ばかり食べて栄養不足で倒れたギャルサーの仲間・スズリン(岡本夏美)におむすびを食べさせたりしたときに結が口にし、そしてナベさんと同じく真紀を震災で失った悲しみの底に沈み心を閉ざしていた歩に対して祖母の佳代(宮崎美子)がかけた言葉で、前述の2つのキーワードとともに重要なセリフである。
わかめごはんのおむすびを口にしながら、これまでの12年間の思いをすべて昇華させるように涙を流すナベさん。商店街の面々、専門学校のメンバー、そして米田家がワンチームとなって、そしてそれを結びつけたのが、冒頭の歩のセリフそのまま、結が結びつけたものであることを印象づけ、大きなクエストクリアというターニングポイント的な週であった。
さて次のクエスト。「人生初のスランプ」という、意外と大変なことになっていた翔也だが、突然無意識に投げた変化球に「なんだ今の球は!?」と、初めて変化球を見たかのように驚き、先輩も「それだ!」と活路を見出せそうな気配だ。これもまた、とにかく速球、直球にこだわる翔也に、速くないといけないのかと問うた結の言葉につながるかどうかはわからないが、翔也はどのように覚醒するのだろうか。
とはいえ、予告ではすでに結の就活がスタートしており、また時間が大幅スキップされそうで、翔也の覚醒も「その後変化球投手として活躍し」となりそうではあるが、はたして……。
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