リリー・フランキーの語りで数年後の世界へ誘うのか【おむすび】“パート2”
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田幸和歌子
懐かしい顔ぶれが成長した姿を見せてほしい
われわれが見ていた連続テレビ小説『おむすび』は、第15週まででいったん完結していたのではないだろうか。そして実質スピンオフのような2週間をはさんでの「4年後」。舞台はこれまで全くなじみのない大阪の病院がメインとなっていた。当然、結を取り囲む人々の顔ぶれも病院関連のキャラクターに一新されている。
病院に勤務する管理栄養士は、どのような仕事をするものなのか、入院する患者の病気はどのようなものなのか、そのあたりはテロップをまじえたりしながら丁寧に解説してくれている。これは、ことあるごとに制作サイドがうたってきた「緻密な取材」の成果であるだろうが、ヒロインほぼ不在の2週間を挟んで、全然知らない場所を舞台に、馴染みのない人たちが次々登場してストーリーが進んでいくのを見るうち、新たに始まった全く別のドラマを見ているような感覚になっていた。
当然ヒロインは結だし、夫の翔也(佐野勇斗)や結の家族、さくら通り商店街の面々も変わらず登場している。だからこそ、おなじみの顔ぶれがいつつも数年後の世界を舞台にした新たなシリーズ、続編のようなものを見ているような気分になってしまうのである。今週からは、4年後の新たな舞台で描かれる「シーズン2」がスタート、昔懐かしい顔ぶれもそれぞれの場で活躍していますといった感じだろうか。カウント上「第18週」とされているものの、実質「シーズン2 第1週」といったほうがしっくりくるかもしれない。
そういえば、米田家が神戸に拠点を移してから登場頻度が減った糸島のおじいちゃん、おばあちゃんは、平成30年も変わらず元気なのだろうか。ナベべ(緒方直人)やルーリー(みりちゃむ)、チャンミカ(松井玲奈)、陽太(菅生新樹)はどうしているだろうか。それら懐かしい顔ぶれの年数が経過した姿は「続編」の醍醐味でもあるので、ぜひ成長した姿を見せてほしい。
管理栄養士として成長を続ける結のいっぽう、翔也といえば、聖人(北村有起哉)の仕事ぶりを間近で見て、掃除などを手伝ううち、なんとなく宣言で締め括ることの多い「決意の金曜日」に、「理容師になりたい」と結に宣言、結も「応援する」と、新たな道への希望がひらけたところで締めくくられた。
もしかしたら、次に翔也を見るときは、「理容師資格を取得、まだまだ慣れないながらも」とリリー・フランキーの語りで数年後の世界へ誘ってくれるかもしれない。
「おむすびパート2―管理栄養士編―」、もしかしたら最終的には令和7年の春をさらに飛び越したまだ見ぬ世界で活躍する、永遠のギャルマインドを持った未来の登場人物たちの姿が見られるかもしれない。
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