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【内館牧子さん×吉永みち子さん対談】終活する派?しない派?本音トーク

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ゆうゆう編集部

子どもの頃から、自分の死にとても興味があった(吉永さん)

吉永 私は子どもの頃から「自分はどんなふうに死ぬのかな」って興味があったんだよね。棺桶に入った自分を想像して、「母は泣いてくれるかな」とか。

内館 今でもそう?

吉永 もっとリアルになったかな。父は私が9歳のときに、朝起きたら冷たくなっていたし、母は82歳まで元気だったけれど、旅行先で急死した。2人とも「まさか今死ぬなんて」という気持ちだったと思う。私はもう70代だし、明日亡くなっても不思議はないからね。

内館 ケリをつけたいことはある?

吉永 特にない。私はいろんな場面であきらめつつ生きてきたしね。母子家庭で、高校のときから奨学金をもらっていて、「やりたいこと」より、与えられた選択肢の中でどうやって生きていくか、その都度ケリをつけてきたから。

内館 私はやりたいことは全部自分で決めてきたと思う。60歳のとき、急性の心臓病で倒れて、盛岡で生死をさまよったでしょう?

吉永 あのときは心配したよ。

内館 ありがとう。でね、集中治療室で思ったのよ。「やり残したことは何もない。今死んでもOK、OK」って。

吉永 私も後悔はないよ。内館さんみたいに選択肢は多くなかったけれど、少ない選択肢の中でも自分で選んできた。どうせなら流されるより意識的に流れてみようと思っていた。だから楽しかったし、今さらケリをつけたいこともない。ときどき「自分は夫や子どもや姑のせいで、したいことができなかった」って嘆く人がいるけれど、「できなかった」じゃなくて「しないという選択をした」と考えたほうが、自分が見えると思うね。

内館 集中治療室で、「今死んでもOK、OK」と思ったことが、私の老後の芯になってる。

『迷惑な終活』 1870円/講談社

年金暮らしの原夫妻は70代。妻の礼子はいわゆる終活に熱心だが、夫の英太は「生きているうちに死の準備はしない」という主義。そんな英太がある日、終活を思い立って始めたことは……。礼子をはじめ、登場する女たちそれぞれの「ケリのつけ方」があっぱれ。

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▼中編に続きます▼

撮影/橋本 哲
取材・文/神 素子

※この記事は「ゆうゆう」2025年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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