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【高畑淳子さん】「私を明るくしたもの? いろいろな不幸かな(笑)」道を切り開く“術”とは…

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ゆうゆう編集部

私を明るくしたもの? いろいろな不幸かな(笑)

優等生気質だった高畑さんはそんな親の思いも背負って、若い頃、芝居についても必死に努力したのだという。29歳で後にブレイクする加藤健一さんとの舞台に抜擢されたときも、加藤さんの言葉を一言一句メモして「一歩歩けと言われたら何が何でも一歩で止まるみたいなところがあった」。しかし初日前、加藤さんにこう言われた。

「『高畑さんの芝居はどこも悪くないけど面白くないんだよね。お客さんにとって、お芝居はお祭りなんですよ。稽古場は遊び場で、この台本は高畑さんのおもちゃですから、楽しんでください』と。『あ、そうだった。それがやりたくて、私この世界に飛び込んだんだ』って、もう頭からバケツで水をかけられたような気がしました」

以後の活躍は誰もが知るとおり。高畑さんが現れるだけでパッと周りが明るくなるような、華やかでいきいきとした雰囲気からは、かつての暗さはとても想像できない。

「何が私を明るくしたんだろう。いろいろな不幸じゃないですか(笑)。そして加藤さんの言葉で、私が楽しんでいるのをお客さまが楽しんでくれるんだということを覚えたのでしょう」

この先も、その楽しむ心が道を切り開いてくれそうだ。

「たくさんは出演しなくても、『よかったよね、あの人。お芝居しているみたいじゃなかったけど、役者さんなの?』って言われるような関わり方ができたらと思うこともありますし、奈良岡朋子さんみたいに、最後まで凛として、年1本でいいからライフワークに挑戦するような俳優になれたらという気持ちもあります。どこに行くかはわかりませんが、そのときどき、体との折り合いをつけながら、“演劇クラブ”をやっていけたらいいなと、そう願っています」

INFORMATION 『陽気な幽霊』

英国の劇作家、ノエル・カワードのウェルメイドコメディ。小説家のチャールズは小説の取材のために霊媒師を呼び降霊会を開くも、幽霊は現れず。しかし客が帰った後、7年前に死んだ先妻の幽霊が現れる。チャールズだけには見えるその先妻のちょっかいが、とんでもない結果を引き起こす。

●作/ノエル・カワード ●翻訳/早船歌江子 
●演出/熊林弘高 ●製作/東宝
●出演/田中 圭、若村麻由美、門脇 麦、天野はな、あめくみちこ、佐藤B作、高畑淳子
●日程と会場
5月3日(土・祝)~29日(木)シアタークリエ(東京)
6月2日(月)~8日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)
6月11日(水)~15日(日)福岡市民ホール 中ホール(福岡)
●公式ホームページ 
https://www.tohostage.com/yokinayurei/

撮影/玉置順子(t.cube)
スタイリング/森 美幸 
ヘア&メイク/山口久勝(アルール)
取材・文/志賀佳織

※この記事は「ゆうゆう」2025年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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