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【あんぱん】寛(竹野内豊)、屋村(阿部サダヲ)、嵩にとってはのぶ…いわゆる〝ロス〟がまとめて降りかかってきた

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田幸和歌子

いつものように屋村(阿部サダヲ)がちゃかすように声をかけるが、「大丈夫ですよ。絶望の隣は希望」と、寛の言葉をよりどころとして力なく微笑む。しかし、そんな寛の〝名言〟をかき消すかのように、
「ホントの絶望はこんなもんじゃないよ」
と、日頃の軽いヤムおんちゃんの顔とは違うシリアスな言葉を投げかける。

嵩の甘えに対して厳しいようでもあるが、これが屋村なりのやさしさでもあるように感じる。作中でも少しずつ屋村の過去、心の奥底に抱える絶望のようなものは匂わされているが、そんな屋村にも、転機が訪れる。

【あんぱん】寛(竹野内豊)、屋村(阿部サダヲ)、嵩にとってはのぶ…いわゆる〝ロス〟がまとめて降りかかってきた(画像4)

「あんぱん」第43回より(C)NHK

戦局はますます混迷し、市民の日常にも影響がいっそう強く及んでいく。そんななか、朝田家に、軍への乾パンの注文が舞い込む。大きなビジネスチャンスに喜ぶ釜次(吉田鋼太郎)、豪の戦死なども経験し戦時体制に疑問を抱くものの、〝愛国の鑑〟と呼ばれ子供たちへの愛国教育につとめるのぶ。その一方で、肝心の屋村はそれを拒絶する。何を体験したのかはわからないが、自分の手で結果的に戦争に加担することになるものを作ることはできない。屋村にとっての戦争観、複雑な心境がその態度で直球で表現される。

羽多子はその思いを受け入れてあげようとするが、朝田パンは反体制のような扱いを受けることになってしまう。釜次は屋村に土下座し、いろいろな思いがあるだろうが、こらえてほしいと乾パンづくりを願いでる。釜次が頭を下げるという行動も、相当なものである。

あまりにも複雑な思いでの決断となったのかもしれない。翌日、朝田パンに乾パンの材料が届く。不思議がる朝田家の面々の前に屋村が現れ、乾パンを焼き始める。屋村が受け入れてくれたことで朝田家が安堵の空気に包まれる。

【あんぱん】寛(竹野内豊)、屋村(阿部サダヲ)、嵩にとってはのぶ…いわゆる〝ロス〟がまとめて降りかかってきた(画像5)

「あんぱん」第45回より(C)NHK

しかし、自分の気持ちを封印したうえでの行動で、自分のここでの役割はここまでと言わんばかりに、そのまま屋村は町を出ていってしまった。「止めんと!」と、いつものことながら察しの悪いのぶに、屋村の苦渋を誰よりも知っての上で頭を下げた釜次は黙っていかせてあげろと屋村の気持ちに最大限の感謝と理解、そして敬意を込めてその背中を黙って見送るのだった。

寛、屋村、そして嵩にとってはのぶ……いわゆる〝ロス〟がまとめて降りかかってきた今週。次週からの展開はどうなるのか。嵩のもとにもいよいよ戦争の影が近づく。何を見て、何を感じていくのか。気になるところだ。

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