庭作業やパソコン作業が多い人は注意!?【逆流性食道炎】そのサインと医師がすすめる予防のコツ
治療は、薬の服用と並行して、生活習慣の見直しを
逆流性食道炎の治療は、内服薬が中心となる。
「プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーといった胃酸を抑える薬を飲みます。服薬を1カ月ほど続けると症状が落ち着いてきます。症状が治まらない場合や治まっても繰り返し起こるような場合は、薬を継続するかどうか、主治医と相談しましょう。というのは、胃酸には消化液としての働きだけでなく解毒作用もあるからです。胃酸を抑え続けると、食道にカビが生えたり便秘、下痢、口渇や腹部膨満感などの副作用が心配になります。薬を漫然と飲み続けるのはよくありません」
内服薬での治療とともに大切なのが、生活習慣の見直しだ。
「庭仕事やパソコン作業など、前かがみの姿勢で作業することが多い人は、腹部に圧力がかかって胃を押し上げることに。意識して背筋を伸ばしましょう。肥満の解消も大事です」
過食や早食い、夜寝る前の食事は避け、油ものに注意!
食生活では食べすぎに注意。夜、遅い時間に食事をとらないこともポイントだ。
「夜に向かって消化速度が落ちます。食べ物が胃に残った状態で横になると逆流しやすくなります。食事は遅くとも寝る2時間前にはすませたいものです。夜だけではなく、食後はすぐに横にならないようにします。早食いもNG。ゆっくりよくかんで食べましょう。アルコールや油もの(脂肪分の多いもの)も消化を遅くします。禁止ではありませんが、症状があるときは控えめに。疲れているときも消化に時間がかかるので注意が必要です」
コーヒーやチョコレートも逆流性食道炎を起こしやすいといわれているので、食べすぎには注意したい。
「どれも逆流性食道炎に限らず、体全体の健康にいい生活習慣ばかりです」
寝るときの姿勢は、体の左側を下にすると逆流しにくくなるという。さらに背中の真ん中くらいまで届く大きめの枕で、上半身に傾斜をつけるようにして寝るのもおすすめだ。
逆流性食道炎になると食道がんになるリスクが高くなるのでは、と心配する人もいるようだが……。
「バレット食道がんは、日本人にはとても少ない病気なので心配しなくていいと思います。胃の内視鏡検査は、ピロリ菌がいる人、またピロリ菌除菌後の人は年に1回、いない人は2年に1回程度受けるようにしておくといいですね」
食べすぎに注意したい食品
【ドクターから一言】
生活習慣の見直しが大事です。食生活や姿勢を改善するだけで治ることもあります。
取材・文/田﨑佳子
※この記事は「ゆうゆう」2025年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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常喜医院 院長
常喜眞理
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。