人生後半戦の『ターニングポイント』を前向きに!
"訳アリ”ヒロインは草笛光子さんそのもの!?女優人生を支えた「母との合言葉」とは【草笛光子さんのターニングポイント#1】
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藤岡眞澄
「珍しく肩に力が入らないで、演じることができた」
そんな草笛さんに、松本動監督は1つ、お願いをしたという。それは、BARの開店に向けて買い物をするため、リヤカーが登場するシーン。どうしても草笛さんをリヤカーの荷台に座らせたくて、「リヤカーなんですけれど、ロールスロイスに乗っている気分でお願いします」と伝えたという。
「あれは楽しかったですね。堂々とリヤカーに乗って、悠々と住宅街を移動するなんて、女優の醍醐味だと思いました」
一方の松本監督は、「こんなにリヤカーを格好良く乗れる人は、世界中探しても草笛さんしかいない」と振り返る。
リヤカーに乗っている姿だけで、アンジーのこれまで過ごして来た日々がゆらゆらと立ち上ってくる印象的なシーン。草笛さんの言う「そのまんま」のなんと奥深いことか。
そして、リヤカーのアンジーはスクリーンの中で生き生きと呼吸していた、
「生き生きとしていると感じてもらえたのでしたら大成功。珍しく肩に力が入らないで、自然に柔らかく演じることができたので、それが伝わっていてうれしいんです」
そうは言っても、映画の撮影はハードな長丁場。きっと、草笛さんならではの体調管理や輝きをキープするコツがあるはず、と思ったが、答えは意外なものだった。
「この歳になるとね、何をするのも昨日とは違うといった感じで、撮影中は体力的にも満身創痍でしたから、『今日は何撮るの? ああ、あそこね?』といった感じで目の前のことをやるだけで精一杯。
だから、私は輝き続けようなんて思ったことはないんです。舞台を怪我なくやるために、70歳を過ぎてからパーソナルトレーニングをしたり、自己流で編み出したマッサージなんかをしてはきましたが、一番大事なのは中身ね。
心をきれいにしていれば、着飾らなくても白いシャツ1枚でもかっこよく着られると思っていますから。だから、『きれいに生きましょうね』なの」