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【ヨシタケシンスケさん最新作】ままならぬ日常を生きる大人に贈るモノクロ絵本『そういうゲーム』

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ゆうゆう編集部

うまくいかない日常をどう面白がり慈しめるか。その手がかりを集めたい

ヨシタケさんが描く人物には、不思議な生命力がある。それはきっと、体型や姿勢、表情、輪郭、首の角度、そういうものが一人ひとり全部違うからではないだろうか。

「うれしいご意見ですね。人って思っていなくても言葉にできるけれど、姿勢や表情には正直に出ちゃうんです。ウソをつくときどんな足の組み方をするか、本当に疲れたとき背中がどう丸まるのか。しぐさや姿勢ってその人が醸し出す人間らしさそのもので、そこを上手に描けるとうれしいな、と常に思っています」

油断した姿勢も、たるんだおなかも、必死な顔も、意地悪な目つきも、泣きたくなるほどの優しさも、全部一人の人間に存在する。だから絵本をめくるとき、読者はそこに「私」を見いだす。母親や上司や、幼なじみの〇〇ちゃんを感じる。

「いい・悪いじゃなくて、『あるある』っていうことを愛でていきたいんです。うまくいかない部分をどう面白がり、慈しんでいけるかが、この先老いていくときに必要な視点だし、そのための手がかりを集めていきたいと思っています」

どんなに苦しい時代でもおいしいコロッケを探したい

ちなみに筆者のお気に入りは、「でこぼこした世界を いろんなものにジャマされながら おいしいコロッケを求めて右往左往する。」というゲームだ。コロッケの袋をトロフィーのように掲げる女性に、心からの拍手を贈りたくなる。

「放っておくと暗いニュースばかりになる昨今だけど、コロッケはなくならないし、幸せはゼロにはならない。皆さんも『おいしいコロッケ』をぜひ見つけてください」

PROFILE
ヨシタケシンスケさん

よしたけ・しんすけ●1973年生まれ。
日常の1コマを切り取ったスケッチ集や、装画、挿絵など幅広い制作を行う。
『りんごかもしれない』でMOE絵本屋さん大賞第1位に。
ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞、ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞など、受賞多数。

※この記事は「ゆうゆう」2025年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/神 素子

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