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永吉(松平健)も『おむすび』ヒロインのような存在だったか!残り1カ月の結(橋本環奈)が羽ばたいていく先は?

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田幸和歌子

「永吉さんのおかげ」として山盛りで届けられ……

場面は永吉の通夜会場に。おそらく大往生であろうし、本人のキャラクターもある。しめやかにというよりも、おだやかな空気が流れるのは、故人の人徳がしのばれるいい描写だと思う。通夜の場で、結のおさななじみ陽太(菅生新樹)の結婚報告がありみんなで「おめでとう」と通夜の場であるけれども「永吉さんなら喜ぶ」と祝福できる空気もいいことだ。

少し話はそれるが、今週、永吉が家を空けるときの回想シーンで唐突にその存在が明かされた、聖人の「二人の妹」という仰天の新設定(?)。通夜の一列目に列席していたふたりの女性がそうだったのだろうか。もともと設定はあったが忘れていたのか、唐突に追加されたのかわからないが、いてもいなくてもストーリー上何も影響がない存在だったことだけは確かだ。

さて、その通夜の中、「山内惠介と申します」という挨拶とともに突然本人役で現れた歌手の山内惠介だ。山内は確かに糸島市出身の紅白出場歌手。山内が言うところには、生前の永吉に世話になったことがあるらしいと。

続いてラモス瑠偉も登場、「おじいちゃんの言ってたこと、ホラじゃなかった!」となるのである。さらに通夜会場には「王さんからのバット」「初代引田天弘のシルクハット」「アントニオ猪木の闘魂タオル」など、永吉の「ホラ話」に登場する著名人からのゆかりの品が続々届いた(通夜、葬式にこんなもの送るのかどうかという疑問はこの際置いておく)。

ホラだと思って笑って聞いていた話が全部本当だった。どこか寓話めいた展開だが、お金を洪水被害にあった人を助けるために貸したという話も、大鶴義丹演じる当事者の息子が現れ、顛末を語ったことで本当のことだったと判明する。万博公園では、当時永吉が食堂のために食材を福岡と大阪を何度も往復し続けていたことが判明していた。

これを「見事な伏線!」というには、ほとんどが有名人のエピソード頼りでもあり、あまりにも安易すぎるが、これぞ、「米田家の呪い」本流とでも言うべき、スケールの大きな人助けの数々ということなのだろう。本作で何度も結に対して描かれてきた朝ドラヒロインのテンプレ的な扱い「◯◯のおかげ」が、「永吉さんのおかげ」として山盛りで届けられ、永吉も『おむすび』ヒロインのような存在だったのか。そんなふうに感じたりもした。

「おむすび」第104回より(C)NHK

永吉の血をひく聖人、歩(仲里依紗)、結、そして落ち込む結に「食べり」と、自分がにぎったおむすびを差し出した花にも、その「呪いのDNA」は受け継がれているのであろう。「呪い」というが、決して呪いなんかではないことは過去に結も語っていたが、困っている人がいたら、放っておけないという、他人を思う気持ちは、人の生命や健康に関わることもある現在の医療機関勤務の管理栄養士にとってとても大切なことである。

永吉が残したものを胸に、残り1ヶ月の結はどのように羽ばたいていくのか。その姿を見守りたい。

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