「今さら勉強しても…」は勘違い?脳内科医が教える50代からの学び直しが伸びる理由
脳の健康をキープすることが長寿のための最大のポイント。「年齢を重ねるにつれ脳細胞は減少していくものの、鍛えればいくつになっても脳の機能を伸ばすことはできる」と脳内科医の加藤俊徳さんは言う。
50代、60代になって資格取得のために勉強を始めたり、大学の社会人講座に通い始めたりする方も少なくないが、まさにさまざまな知識を得て、体験して、新たな刺激を得ることができる「学び」こそ、脳を鍛える絶好のアクションだ。健康寿命を延ばすだけではなく、人生をより楽しく豊かにする「学び」について、加藤さんにお話を伺った。
お話を伺ったのは
加藤俊徳さん 脳内科医
かとう・としのり●加藤プラチナクリニック院長、株式会社「脳の学校」代表。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、脳の個性や成長段階、脳番地診断を行い、薬だけに頼らない脳の強化法の処方を行う。脳番地トレーニング、助詞強調音読法の普及にも取り組む。著書に『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)など。
ゆうゆう世代の女性は男性よりも学びに貪欲
脳の専門医としてクリニックの院長を務め、これまで1万人以上の脳を診断してきた加藤さん。老若男女、幅広い層から相談を受ける中で、ゆうゆう世代に当たる50~70代の女性には大きな共通点があるという。
「それは同年代の男性と比べて、精神的にずっと大人だということ。50歳を人生の折り返し地点と捉え、次の50年をどう生きるかを真剣に考えている方が多いんです。同時に何かを学びたい意欲が高い方も多い。これまで仕事や家事、育児に忙しく、やりたかったことをセーブしてきたという背景もあるのでしょう。その満たされない思いが、学びに対する大きなポテンシャルを生み出しているんです」
脳は鍛えれば何歳からでも成長を続けられる
「次の人生の私」を強く意識しているゆうゆう世代は、学びに対しても積極的。とはいえ、記憶力の衰えや物覚えの悪さをひしひしと感じる年代でもある。新しい学びが本当に身につくのか、不安に思う人も多いはずだ。
ところが「何歳からでも遅くはありません。脳は自分次第で成長します」と加藤さんは言う。
「物忘れが始まるのはだいたい40代後半からですが、これは記憶に関わる脳の一部分に老化が現れただけ。脳全体が老化したわけではありません。年齢を重ねるにつれ脳細胞が減少していくのは避けられませんが、筋トレをすれば筋力がアップするように、何歳からでも脳の機能を伸ばすことはできるんです。
実際、MRI画像で脳の状態を追跡すると、それは顕著に表れます。脳には神経線維の集まる『白質(はくしつ)』という領域があるのですが、40代、50代でも新しいことにチャレンジし、様々な情報や刺激に触れている人の白質は、年齢を重ねるごとに樹木が枝を伸ばすように育っていくのがわかります。それまであまり使われていなかった脳番地(脳全体をそれぞれの機能ごとに分類したもの=加藤さんが提唱している考え方)が鍛えられ、著しく発達していくのです」
下のグラフを見てほしい。脳を鍛えている人と何もしていない人では、50代以降になるとどちらも大きな差がついてしまう。将来の脳の健康寿命を延ばすためにも、やはり今こそ学びをスタートする絶好のタイミングだと言えそうだ。
積み重ねた人生経験を新たな学びに生かそう
新しい体験を避け、慣れきった生活を漫然と繰り返すだけでは、脳の劣化や老化は避けられない。脳の成長と老化防止のためには、常に新しい情報に触れ、脳を刺激し続けることが大切だと加藤さん。さらに、ゆうゆう世代にとって自信につながるアドバイスも。
「もともと勉強が苦手で、今まで何も学んで来なかったと思っている人でも、ゆうゆう世代は学生時代よりも十分に『頭がいい』と自覚しましょう。それは50年以上積み重ねてきたさまざまな経験が、『脳貯金』『認知貯金』として蓄積されているから。すでに学ぶための土台が整っている状態ですから、学生時代より今のほうが学びに適した時期と言えるのです。
脳は年齢を重ねてからのほうが物事を面白がれるという特徴もあります。面白がれるからこそ脳全体が活性化して理解が深まり、さらに学びが面白くなっていく。こうして生まれた『脳の成長スパイラル』にうまく乗ることができれば、脳を成長させながら人生100年を元気な体で楽しめるはずです」
一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方
加藤俊徳 著/サンマーク出版
大人ならではの勉強法、脳の成長のさせ方を伝授する一冊。
※詳細は下記のボタンより
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取材・文/後藤由里子
※この記事は「ゆうゆう」2026年秋号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
